内分泌疾患/泌尿生殖器疾患

内分泌疾患/泌尿生殖器疾患

多飲多尿の鑑別診断 前編

獣医師の梶村です。

今回は多飲多尿の鑑別について説明します。

多飲多尿とは、薄いおしっこを大量にして、やたら水を飲みたがることです。

24時間の飲水量が、犬猫で体重1kgにつき100mlを超えるなら多飲です。

また多尿は尿比重が犬で1.030以下、猫で1.035以下であれば多尿と判断します。

2017-07-11-11-18-30

この症状が出る場合は、主に以下の可能性があります。

(1)慢性腎臓病
(2)腎盂腎炎
(3)子宮蓄膿症
(4)肝不全
(5)糖尿病
(6)副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
(7)副腎皮質機能低下症(アジソン病)
(8)猫の甲状腺機能亢進症
(9)原発性アルドステロン症
(10)高カルシウム血症
(11)尿崩症
(12)医原性(グルココルチコイド投与)
(13)心因性多飲

これらの病気を簡潔に説明します。

(1)慢性腎臓病
高齢の動物で罹患率が高く、特に猫で主要な死亡原因となります。
ある程度進行すると、慢性腎臓病はそのまま進行し続け、高窒素血症、尿毒症(消化器症状、体重減少など)が出てきます。
また貧血や、高血圧による失明、上皮小体機能亢進症による骨異常も見られるようになります。

治療には皮下点滴、内服薬、食事療法などを行います。 

(2) 腎盂腎炎
膀胱からの細菌尿が腎臓に逆流することで腎盂腎炎となることが多いです。
腎盂腎炎の症状は様々で、無症状の場合もあれば、多飲多尿、頻尿、血尿、失禁、発熱、食欲不振、嘔吐、腎臓の痛みなどがあります。

治療には抗生剤を長期的に使います。
 

(3)子宮蓄膿症
子宮蓄膿症は子宮内膜の嚢胞性増殖と細菌感染による炎症から、子宮内に膿が溜まる病気です。
発情出血後、1〜2ヶ月に発症することが多いです。
症状は多飲多尿、元気消失、食欲不振、嘔吐、腹部膨満、外陰部からの膿、発熱などです。

最善の治療は外科的に卵巣子宮を摘出することです。
ホルモン剤+抗生剤の内科治療もありますが、再発の可能性、治療に時間がかかる、副作用などの問題があります。

画像はパンパンに膨らんだ子宮です。
DSCN5959

(4)肝不全
肝不全とは、何らかの原因により肝臓の機能が大幅に低下した状態です。
症状としては、多飲多尿、黄疸、食後肝性脳症、食欲不振、元気消失、嘔吐、腹水、下痢、皮膚疾患などが見られます。

画像は肝臓の生検です。
DSCN9387
病理検査に出すことで、肝臓の状態が分かります。

(5)糖尿病
インスリンの不足や抵抗性により高血糖が生じ、様々な代謝異常を引き起こします。 
症状は多飲多尿、多食、体重減少などがあります。
犬では長期の高血糖が続くと白内障になります。
猫では後肢の麻痺が起こることがあります。

治療はインスリン製剤を使用します。 
犬では生涯インスリン注射が必要ですが、猫ではインスリン注射から離脱することができる場合があります。

後編で残りの病気を簡潔に説明します。

獣医師 梶村


かもがわ動物クリニック

 

アクセス

出勤表

お問い合わせ

TEL