本日の一症例

食欲がない/陰部からの排液

生殖器科/外科

子宮蓄膿症

動物
種類 チワワ
性別 メス
年齢 10歳
地域 京都市北区
症状/病態 陰部から排液、食欲低下、元気消失、下痢
考えられる病気 子宮蓄膿症、膣炎、膀胱炎、腫瘍など

2日前から元気食欲の低下、陰部から排液、下痢とのことで来られました。

腹部エコー検査にて、子宮内に液体を認め、また陰部からの膿には顕微鏡検査で過剰な細菌が認められました。

発熱があり、血液検査では炎症の数値が高かったので、画像検査も合わせて、子宮蓄膿症と診断しました。

また乳腺の腫瘤も複数認められました。

本来ならこの時点で、卵巣子宮全摘出術と乳腺腫瘤の切除を行うところですが、貧血を起こしていたことと、乳腺が棒状に腫れていて炎症性乳癌(悪性度が非常に高く、外科は不適応)の可能性があったので、点滴とアリジンと感受性のある抗生剤を使用して、注意深く観察し、排液して子宮が小さくなれば手術することにしました。

アリジンは、プロジェステロンの作用を一時的に抑制することで、黄体期から脱して、細菌の増殖を抑制し、子宮頚管を弛緩させることにより、排膿を促進します。

 

結果的には、子宮内の液体が減り、貧血は改善し、乳腺の腫れも無くなり、状態も良好な中で卵巣子宮摘出術と乳腺腫瘤の摘出ができ、元気になりました。

今回、アリジンを使うことで、内科で状態を上げつつ、安全に手術することができました。