会陰ヘルニア
病態
会陰(えいん)とは肛門や泌尿生殖器のある場所をさします。
会陰ヘルニアとは通常、肛門の左右片側または両側で、腹腔内臓器(脂肪、腸管、膀胱など)が突出してしまう病気です。
肛門の周囲深部にある筋肉(肛門挙筋、尾骨筋、肛門括約筋)が萎縮し細くなり、ヘルニア孔(隙間)ができてしまうことが原因で、このヘルニア孔を通って臓器が外へ出てしまいます。また男性ホルモンの影響が関係しているとされ、中~高齢の未去勢のオスに多くみられます。吠えると腹圧がかかり、ヘルニアを助長させる一因になると言われています。
症状として、排便に時間がかかる、便が細い、出にくいといった排便異常、重度になると肛門周囲の皮膚がぽっこり出ている、尿の出が悪い(膀胱が脱出している場合)などがあります。ヘルニアになり長期経過したものは整復も困難で、組織が癒着したり血行障害で壊死してしまうこともあり、緊急を要することもあります。
診断
問診、視診、触診(直腸検査)をします。
画像診断として
レントゲン検査、必要に応じてバリウム直腸検査、エコー検査を行います。
治療
外科療法(手術)をします。
ヘルニアを整復するための術式は様々で、ヘルニア孔を閉じるために筋肉や靭帯を縫い合わせたり、医療用メッシュなどを使ったり、腸管や膀胱が背側に動かないよう引っ張って固定したり、状況を見ながら組み合わせて行います。
また、去勢されてない場合は、精巣摘出手術を同時に行います。
片側のヘルニアを手術した後に反対側のヘルニアが起こったり、縫い合わせた部分にまた隙間ができたり、残念ながら再発報告のある疾患です。