猫の心筋症
病態
心筋症とは心機能障害を伴う病気で、多くは特発性(原因不明)である。
二次性の原因としては全身性の高血圧やタウリン欠乏などがある。
心臓の形態、運動性の異常に基づいて、5タイプに分けられている。
肥大型心筋症
内腔の狭小化を伴う重度の左心室肥大が特徴。
多くの例で、心筋収縮蛋白、もしくは調節蛋白に関与する遺伝子に異常が見られる。
(interzoo Veterinary Circulation 25号 特別付録 より引用)
心臓のエコー画像では左心室と右心室の間の心筋と、左心室の下にある心筋が分厚くなっている。
拘束型心筋症
心内膜、及び心内膜心筋層における重度の繊維化により、左心室もしくは両心室での拡張期伸展障害が起き、その結果、左心房もしくは両心房が拡張する。
拡張型心筋症
心室腔の著しい拡大が特徴。
タウリン欠乏と関連があり、遺伝因子、カリウム欠乏なども関与している可能性あり。
不整脈原生右室心筋症
右心室の著明な拡大、菲薄化と収縮拡張能が低下する心筋症。
右心不全と重篤な不整脈を引き起こす。
非常に稀な病気。
分類不能型心筋症
いずれの心筋症にも分類できない心筋症。
心臓形態、機能において特徴的な所見を欠く。
症状
元気食欲低下、運動不耐性、胸水や肺水腫による早い呼吸、開口呼吸、失神、血栓塞栓症による後肢麻痺など。
診断
レントゲン検査、心臓エコー検査により形態、機能に異常がないか確認する。
また血液検査でも、心臓にうっ血などの伸展ストレスがあれば、異常値が出ることがある。
治療
心筋症に応じて、また個々の症例の状態に合わせて、血管拡張薬(フォルテコールなど)、強心薬(ピモベンダン)、心筋保護薬(スピロノラクトン)、利尿薬(フロセミドなど)などを使用する。