猫の特発性膀胱炎
病態
膀胱炎は膀胱に炎症が起きることを言います。
炎症の原因により、細菌性、結石性、特発性に分類されます。
猫で最も多い膀胱炎は特発性、つまり原因不明の膀胱炎であり、症状として頻尿、血尿、排尿痛、不適切な場所での排尿などがみられます。
上述の通り明らかな原因はわかっていませんが、可能性として以下のような発症要因が提唱されています。
・環境的要因(完全室内飼育、引越し、同居猫とトイレを共有など)
・身体的要因(肥満)
・食事要因(ドライフードのみの食事、飲水量が少ないなど)
・膀胱粘膜の異常
・免疫系、内分泌系の関与
診断
特発性膀胱炎は、細菌や結石といった原因を除外することで診断します。
尿検査を行い、蛋白、糖、pH、潜血反応などを検査します。
また尿を遠心し底に沈んでくる沈渣成分を顕微鏡で観察し、細菌や結晶に加え、赤血球、白血球、膀胱粘膜上皮細胞などの有無を調べます。
その他レントゲンや超音波検査で尿路結石や腫瘍の有無を確認します。
治療
特発性膀胱炎は再発が非常に多く、治療は発症回数の軽減を目標とします。
①食事療法
不安やストレスを軽減する成分を含む食事が発症を減らすという報告があります。
②水分摂取
濃縮尿を希釈することは発症の抑制につながります。
常に新鮮な水を数カ所に設置する、ウェットフードに変更するなど飲水量を増やす工夫をしましょう。
また症状が激しい場合は皮下点滴を行います。
③環境の改善
・トイレを1頭につき2つ用意し静かな場所に設置する。
・トイレをこまめに掃除し清潔に保つ。
・砂の種類を好みに合わせて変える。
・安心できる食事場所、休息場所を用意する。
・十分に遊ばせる。
・高いところに登れる様にする。
といった環境整備や生活改善によりストレスを軽減することが重要です。
また、当院では膀胱粘膜の炎症を抑える注射を行なっています。