股関節脱臼
病態
股関節の脱臼で、寛骨臼(股関節がはまっているくぼみ)から大腿骨頭(股関節)が外れた状態です。
交通事故や高いところから落ちた、などの大きな外傷で起こりますが、もともと股関節の形成不全(寛骨臼のくぼみが浅い、大腿骨頭の変形、レッグペルテスなど)があった場合は軽度の外傷でも起こります。
症状としては後肢の挙上(地面に足をつけない)、跛行、疼痛がみられます。
診断
触診を丁寧にし、股関節の位置異常や疼痛を確認します。
<レントゲン検査>
どちらの方向にずれているか、もともとの股関節の形成不全がないか、骨折がないかなどを調べます。多くは背頭側に外れます。
治療
まずは外れた関節を元に戻します。皮膚を切開せずに整復する非観血的整復と手術による整復があります。
<非観血的整復>
単純な脱臼以外に、股関節に問題ががない場合に行います。
鎮静化で外れた関節を元に戻し固定します。整復して数週間はテーピングし、レントゲンで再脱臼していないか確認をします。
整復は早めのほうがよく、脱臼して数日以内であれば経過が良いとされています。
整復後も再脱臼する場合は、手術をします。
<手術>
非観血的整復で戻らない場合や股関節の形成不全がある場合に行います。
多くの場合、骨頭切除術(大腿骨の出っ張りの部分を切除)を実施します。
場合によっては、専門医による股関節全置換術(関節全体を人工物で置き換える)も選択可能です。
整復後は、安静またはリハビリが必要です。
リハビリとして股関節周囲の筋肉を鍛え、可動域を維持するようにゆっくりとした散歩やマッサージ、温熱療法などを行います。
内科療法として
・鎮痛剤:必要に応じて使用します
・体重管理:股関節への負担を軽減するための減量
・サプリメント:補助的に使うこともあります
上記を組み合わせて治療します。