犬の妊娠について
概要
犬は周年繁殖動物であり、季節に関係なく発情期が起こります。
また犬は1回の繁殖期に1回の発情を示す単発情動物であり、発情周期が非常に長いため、1年間で繁殖を行える機会は少ないです。
しかし、精子と卵子の生殖道内における寿命が長いという特徴を持っているので、他の動物に比べて受胎可能な交尾期間が長いです。
発情周期について
雌犬は性成熟後、5〜12ヶ月の間隔で発情を繰り返します。
発情周期の長さは小型犬では短く、大型犬では長い傾向にあります。
犬の発情周期は、発情前期、発情期、発情休止期、無発情期に分けられます。
発情前期
発情前期は、外陰部からの発情出血の開始から始まり、平均で8日ほど続きます。
この時期にはエストロジェン(卵胞ホルモン)の影響によって、発情出血、外陰部の腫大や充血などが起こります。
また頻尿になったり、落ち着きがなくなったり、性フェロモンにより雄犬を引きつけるようになります。
発情期
発情期は雌犬が雄犬に交尾を許す期間であり、平均で10日ほど続きます。
発情期の3日目に排卵が起こることが知られており、排卵後は黄体が形成され、エストロジェンの分泌が低下し、腫大していた外陰部は縮小し始め、発情出血の量も減少します。
発情期の終了時には、出血は見られなくなります。
発情休止期
発情休止期とは、発情期の終了から黄体期の終了までの約2ヶ月のことです。
無発情期
無発情期とは、卵巣に黄体も卵胞も無い状態です。
長さは 3〜8ヶ月ぐらいで、個体差があります。
交配の時期の判定法
交配に適した時期を判定するための方法には、血中プロジェステロン(黄体ホルモン)値の測定、膣スメア検査により排卵日を推定する方法や、外陰部の変化、発情出血の開始日・性状、雄犬に対する交尾の許容などから排卵日を予測する方法があります。
妊娠診断について
犬の基本的な妊娠期間は63日ですが、実際には58〜66日と幅があります。
交配後26日ぐらいで、超音波検査が実施できます。これにより妊娠の確認や、胎児の心拍数などが分かります。
また交配後、47日前後以降で、レントゲン検査により胎児の骨格を確認することができます。
犬の妊娠を考えている方は、妊娠に適した時期の推定、妊娠の判定について、確認しておきましょう。