皮下にできていたしこりが大きくなってきたとのことでご来院されました。
このしこりについては以前にも針を使って細胞を採取する細胞診検査を実施しており、そのときは良性の脂肪腫と診断されていた部位でした。

しかし大きく、硬くなっていたため再度検査を行ったところ、軟部組織肉腫という悪性腫瘍が疑われました。
そこで腫瘍の大きさや転移がないかを確認するため、CT検査を実施しました。

その結果、腫瘍は皮下にとどまっており、肺などへの転移は認められなかったため、摘出することになりました。

以下、手術の写真となります。苦手な方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

腫瘍から約2cmの正常組織と隣接していた脂肪腫を含めて切除することとしました。

切除後の写真です。腫瘍と隣接していた筋肉も一部含めて切除しました。

その後は皮膚を縫合し術創を閉鎖しましたが、皮膚の張力（引っ張り）が強かったため、皮膚に余裕をもたせるために減張切開を加えました。

術後は数日入院して術創からの漿液排泄が減少したことを確認し、退院しました。

退院後は通院で包帯の巻き替えて管理をしました。

病理診断は細胞診と同様に軟部組織肉腫という診断であり、転移がない場合は摘出することで治療完了となります。

今回のケースでは、以前は良性と診断されていたものが悪性腫瘍に変化していました。皮下のしこりは、最初は問題がなくても、大きさや硬さが変わってきたときには性質が変わっている場合があります。

今回の症例のように以前からあったしこりに変化が見られた場合は積極的に検査をするように心がけましょう。

当院では、獣医腫瘍科認定医による腫瘍科専門外来を行なっております。

詳細は下記のリンクをご参照ください。

https://www.kamogawa-ac.jp/cancer-treatment-specialty/