犬の橈尺骨骨折

病態
犬の前足には、肘から手首にかけて「橈骨(とうこつ)」と「尺骨(しゃっこつ)」という2本の骨があります。
この部分の骨折を「橈尺骨骨折」といいます。
犬では比較的よくみられる骨折のひとつで、交通事故や落下、踏まれる、挟まれるなどの外傷によって起こります。
特にトイプードルやチワワ、ポメラニアンなどの小型犬では、ソファや抱っこからの落下など、日常生活の中の小さな事故でも骨折してしまうことがあります。
症状
以下のような症状がみられます。
・前足を地面につけない
・足を挙げたまま歩く
・痛がる、触られるのを嫌がる
・前足が腫れる
・足の向きが不自然に見える
診断
以下を組み合わせて診断します。
・視診
立っている時や歩いている時の体重のかけ方を観察します。
・触診
足を触って、痛みのある部位や腫れ、骨の不安定さなどを確認します。
ただし、無理に動かすと骨折部がさらにずれてしまう可能性があるため、慎重に行います。
・レントゲン検査
視診や触診で痛みのある部位を確認し、その部位のレントゲン検査を行います。橈骨と尺骨のどちらが折れているか、骨折の位置、骨のずれ方などを確認します。
骨折の状態によって、治療方法が変わります。
そのため、骨折の診断や治療方針の決定において、レントゲン検査はとても重要な検査です。
治療
主に以下のような方法があります。
・外固定
ギプスや副木、包帯などを使って、外側から足を固定する方法です。
骨折のずれが少ない場合や、骨折の状態によって選択されることがあります。
ただし、固定が緩んだり外れたりすると骨折部がずれてしまうことがあります。
また、包帯による皮膚トラブルが起こることもあるため、定期的な確認が必要です。
・手術
プレートやピン、創外固定などを用いて、骨折部を安定させる方法です。
特に小型犬の橈尺骨骨折では、骨が細く治癒に時間がかかることがあるため、手術による固定が選択されることも多くあります。
骨折の部位、ずれの程度、犬の体格や年齢、生活環境などをふまえて、治療方法を決定します。
また、骨折の治療では、固定や手術だけでなくその後の管理も非常に重要です。
治療後は、ケージレスト(ケージやサークル内で安静に過ごすこと)が安静の維持に大切です。
ジャンプ、階段、走る動き、滑りやすい床での運動は控える必要があります。
また、外固定をしている場合は、包帯が濡れていないか、足先が腫れていないか、嫌なにおいがしないかなどを確認します。
骨の治り具合は、定期的なレントゲン検査で確認していきます。
まとめ
犬の橈尺骨骨折は、特に若齢の小型犬でよくみられる前足の骨折です。
一見小さな事故でも骨折してしまうことがあり、骨が細いため治療には慎重な判断が必要です。
前足を急に挙げる、痛がる、歩き方がおかしいなどの症状がみられた場合は、早めの受診をおすすめします。

