日常ケアについて/腫瘍(ガン)/皮膚疾患/感染症/検査

日常ケアについて/腫瘍(ガン)/皮膚疾患/感染症/検査

ポリポリ、カリカリ…痒がっていませんか?

獣医師の梶村です。

お家で飼っているワンちゃん、ネコちゃんが異常に体を掻いている、夜中にポリポリ聞こえてくる、皮膚にプツプツと湿疹ができる…

そんな経験はございませんか?

そのような場合は皮膚病にかかっているかもしれません。 

痒みを引き起こす原因には感染性寄生虫性精神的要因食事アレルギーアトピー
ある種の腫瘍などがあります。 

当然ながら、原因によって治療も異なります。

ではこれらの多様な原因をどうやって探っていくのか…

今回はそのことについてお話します。

まず診断していく上で重要なのは問診です。

問診では痒みや湿疹がいつからあったのか、どこにあるのか、フードやオヤツは何を食べているのか、シャンプーしているのか、ノミ・マダニ予防はしているのかなどをお聞きします。 

次に視診触診で、どんな皮膚病変がどこにできているのか、ノミ糞などがないかをチェックしていきます。

その後、 病原体を探すためにスタンプ、スクレーピング、抜毛検査、培養検査などを行います。

スタンプ検査とは皮膚に押し当てたスライドを染色することです。

感染があると顕微鏡で以下の赤丸のように見えます。

BlogPaint

 

スクレーピングとは以下のような器具を使って皮膚をこすることで、皮膚のより深い場所にいる病原体を探す検査です。





抜毛検査は毛を抜いてそれを顕微鏡で見ることで、毛の状態や寄生虫を調べる検査です。



培養検査は細菌や真菌が培地で繁殖するかどうかを調べる検査です。



さらにその培地のコロニーを使って、どの抗生剤が効くのかを調べる感受性試験も行うことが多いです。



一度に全てを実施する事は少なく、基本的にはスタンプ検査から始め、必要そうであれば他の検査も同時に行う、もしくは治療の経過を見て追加していくという流れになります。

以上の視診触診、検査で病原体がいた場合は、適切な治療(ノミ・マダニ予防、抗生剤、抗真菌薬、抗菌シャンプーなど)をしていく事になります。

もし病原体がいない場合、もしくは適切な治療をしたにも関わらず痒みが残る場合は、アレルギーを考えてアレルゲンを除去するために除去食試験を行います。

除去食試験は、新奇タンパク(これまでに与えたことのない食物)を主成分としたフードや、タンパク質をアミノ酸レベルにまで細かくしてアレルギーを起こさないようにしたフードなどを1〜2ヶ月続けて、痒みが無くなるかをチェックする試験です。

 

これでもまだ痒みが続く、もしくは残るという場合はアトピーやその他の稀な病気を疑っていきます。

以上で皮膚病の診断の大まかな流れを説明しましたが、全ての症例が必ずしもこの流れのように進むとは限りません。

獣医師の考え方、飼い主様の希望、何よりワンちゃんネコちゃんの状態によって、 異なってくるからです。

皮膚病は直接命に関わるようなことは少ないですが、QOL(生活の質)に大きく関わってきます。

放っておくと経過が長くなってしまうこともよくあるので、少しでも異常を感じた方は病院に連れて来てください。

ちなみに我が家のモコも皮膚が弱く、定期的に皮膚のチェックをして、薬用シャンプーも使っています。



獣医師 梶村