手術
麻酔のリスク!?
獣医師の梶村です。
今回は麻酔のリスクについて説明します。
麻酔のリスクで当然一番に考えなければいけないことは、麻酔関連による死亡のリスクのことです。
去勢手術、避妊手術、歯石除去、骨折手術、内臓摘出手術など…
これらは全て全身麻酔を必要とします。
しかし若くて健康な子と腫瘍などにより全身状態が悪い子ではその麻酔のリスクは大きく変わってきます。
そこで私たちは麻酔の前にその子の状態を客観的にステージ分類します。
ステージ分類はASA分類(American Society of Anesthesiologists )に基づき考えます。
具体的に説明すると、
クラス Ⅰ は去勢、避妊手術など
クラス Ⅱ は皮膚腫瘍、膝蓋骨脱臼など
クラス Ⅲ は肺炎、心雑音、貧血、発熱、脱水など
クラス Ⅳ は心不全、腎不全、肝不全など
クラス Ⅴ は多臓器不全、重度の出血、ショックなど
です。
これらに基づき、麻酔のリスクを考えます。
ちなみにイギリスの報告では、
クラス Ⅰ〜Ⅲの死亡率は、犬で 0.05% 、猫で 0.11% 、ウサギで 0.73%
クラスⅢ〜Ⅴの死亡率は、犬で 1.33% 、猫で 1.40%、 ウサギで 7.37%
でした。
数字で見ても、明らかにリスクが違うことがわかります。
よって麻酔の前には身体検査、血液検査、画像検査などで、できる限り患者の状態を把握し、飼い主さんと話し合わなければなりません。
ちなみに麻酔関連の死亡原因として多いのは、心血管系、呼吸器系の合併症です。
またタイミングとして多いのは術後が一番多いです。
なので私たちは、手術の後は特に注意して見ています。
また当院では、最新で高性能の麻酔器を使用していますので、より安全に麻酔管理ができます。
http://kamogawa-ac.blog.jp/archives/6766492.html
今回は麻酔のリスクについて説明しました。
麻酔を必要以上に恐れる必要はありませんが、100%安全な麻酔は無いので、楽観的に考えずにしっかり向き合いましょう。
獣医師 梶村