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前回のオンラインセミナーのまとめ(犬猫の中毒について)

先日行われたオンラインセミナーでお話しした犬猫の中毒についてまとめたいと思います。

中毒とは飲食物または内用・外用の薬物などの毒性によって生体の組織や機能が障害されることとされており、特に犬や猫においては人が食べても無害のものであっても体の大きさや作りの違いから中毒を引き起こすことがあります。
そこで今回は中毒を起こす原因になるようなものを食べてしまった時の症状や中毒量について紹介したいと思います。

 

チョコレート
原因物質:カカオに含まれるテオブロミンやカフェイン
症状:嘔吐下痢、興奮(心拍数や呼吸数の上昇)
中毒量:犬猫1kgあたり20mg以上/5kgの犬猫でビターチョコが板チョコ1/2枚、ミルクチョコが3/4枚
犬に置いてチョコレートの中毒は一番発生が多いと言われている
ココアやコーヒにも同様の成分が含まれているため注意

 

タバコ
原因物質:ニコチン
症状:嘔吐、下痢、興奮、不整脈
中毒量:犬猫1kgあたり1mg以上/5kgの犬猫でタバコ1本
タバコを捨てた灰皿の水にも注意

 

タマネギ(ネギ、ニラ、ニンニク)
原因物質:有機チオ硫酸化合物
症状:貧血(可視粘膜蒼白、黄疸、血尿)、下痢、嘔吐、元気低下
中毒量:犬猫1kgあたり5g以上/5kgの犬猫でタマネギ1/10個、ニンニク1個
これらの中毒は加熱したものでも起こるので注意

 

人用解熱鎮痛剤
原因物質:イブプロフェン
症状:嘔吐、下痢、乏尿、無尿、けいれん
中毒量:犬1kgあたり125mg/5kgの犬で約5錠
猫では犬の半分の量で中毒を起こすことがある

 

キシリトール
原因物質:キシリトール
症状:低血糖(けいれん)、黄疸、嘔吐、下痢
中毒量:犬猫1kgあたり0.1g以上/5kgの犬猫でガム1粒
人用の歯磨き粉は犬猫に絶対使用しない

 

ユリ
原因物質:不明(花、茎、根の全てが中毒を引き起こす)
症状:嘔吐、下痢、元気低下→急性腎障害(尿量減少、嘔吐)
中毒量:不明
猫で特に注意が必要で花粉や花瓶の水を舐めただけで中毒になることも

 

ブドウ
原因物質:不明
症状:急性腎障害(尿量の減少)、嘔吐、下痢、元気低下
中毒量:不明(ブドウ2粒で中毒を引き起こしたこともある)
原因物質は不明だが犬で特に症状が出やすい

 

保冷剤
原因物質:エチレングリコール
症状:腎臓に障害(尿量の減少)神経麻痺→短時間で死亡
エチレングリコールは冷凍庫で冷やしても柔らかいままの保冷剤に含まれている

 

乾燥剤
原因物質:生石灰(塩化カルシウム)
症状:胃潰瘍、嚥下障害、皮膚炎、角膜潰瘍
生石灰は乾燥剤の中身が白いものに含まれていることが多い
乾燥剤の中身が黒色(鉄)や透明(シリカゲル)の場合は基本的に無害

その他危険な食べ物
・生のイカ、タコ、カニ
けいれんや歩行異常をはじめとする神経症状が見られる
・アボカド
果実、種子に含まれるペルシンによる嘔吐や下痢
・揚げ物
塩分や油分が多く嘔吐や下痢の原因に
・鶏の骨、焼き鳥
骨や串が消化管を傷つけたり穴を開けてしまう可能性あり

 

治療について
・無麻酔下での処置
催吐処置、吸着剤の投与、点滴
・全身麻酔下での処置
胃洗浄、胃切開、腸切開

中毒はどんなに健康な犬猫においても日常の中で起きてしまう可能性があるため原因となる食べ物をしっかり把握しておきましょう。そして、食べてしまったときはなるべく早く病院を受診するようにしましょう。

 

獣医師 溝口