バベシア症

病態
バベシア症とは、赤血球に寄生する原虫(バベシア)が原因で、命に関わる溶血性貧血を引き起こす感染症です。原因となるのは Babesia gibsoni や Babesia canis という原虫で、これらは主にマダニ(特にフタトゲチマダニ)によって犬に感染します。以前は西日本の暖かい地域で多く見られていましたが、近年は関東・東北など東日本でも発生が報告されています。
症状
バベシアが赤血球に寄生すると、赤血球が壊されてしまいます。その結果、以下のような症状が見られます。
・貧血:歯ぐきや舌が白っぽくなる、元気がない
・黄疸:尿が濃いオレンジ色になる、皮膚や白目が黄色く見える
・血尿:尿に血が混じる(赤や茶色)
・血小板減少:お腹などの皮膚に紫色の斑点が出る
急激に貧血が進行して重症化しまうこともあるため、早期発見が重要です。
診断
まず身体検査で、体温や心拍数、呼吸数、粘膜の色などを確認します。その上で、以下の検査を実施します。
・血液検査:貧血や溶血、血小板減少、ビリルビン上昇
・血液塗抹検査(顕微鏡で血液標本を観察):赤血球内にバベシア虫体が見られるか
・PCR 検査:バベシアの遺伝子を検出
・尿検査:潜血やビリルビンの陽性
治療
治療の中心は抗原虫薬の投与です。また、動物の状態に応じて対症療法を行います。
・重度の貧血:輸血
・食欲低下・脱水:点滴や支持療法
ただし、一度感染すると体内から完全に除去することは困難です。
症状を抑えて寛解状態を維持することが治療の目標になります。
免疫抑制剤や抗がん剤の使用、脾臓摘出、強いストレスなどにより再発することがあります。
予防
感染源となるのはマダニです。そのため、定期的なマダニ予防が最も重要です。
・毎月のマダニ予防薬(スポットタイプや内服タイプ)を欠かさず行う
・草むらや山などマダニが多い場所への立ち入りを避ける
・散歩後は体をよくチェックする
バベシア症は命に関わる感染症ですが、予防ができる病気でもあります。
マダニ予防を習慣にして、愛犬を守りましょう。
気になる症状がある場合は、お気軽に獣医師までご相談ください。

