気胸

病態
気胸とは胸腔内に空気が溜まることで肺が圧迫され膨らみ辛くなり呼吸困難になってしまう状態です。
気胸の原因には以下のようなものが挙げられます。
①外傷性(犬猫の気胸において最も多い)
交通事故や高いところからの落下などの強い衝撃で肺や食道に穴が空くことで発生します。
②自然発生性
胸の深い大型の犬種で発生が多くみられ、肺の感染や腫瘍でも発生します。
③医原性
麻酔時の気管チューブや胸腔穿刺によって発生することがあります。
症状
呼吸促迫や努力性呼吸、チアノーゼ(舌や粘膜などが青紫色になること)などが見られます。
重度呼吸困難になるとそのまま命を落としてしまう可能性もあります。
診断
一般身体検査、血液検査、血液ガス分析により全身性の疾患の有無や、呼吸状態を評価した後、レントゲン検査や胸部超音波検査で胸に溜まった空気を確認することで診断します。
またCT検査を実施することで胸腔内の空気を確認するとともに、原因となる病気や空気が漏れている箇所を特定できることもあります。
治療
・胸腔内空気の抜去
空気の貯留により呼吸困難に陥っている場合は胸腔に針を刺して空気を抜きます。空気が溜まる頻度は様々で、何度も空気を抜く必要がある場合は胸腔ドレーンを設置することもあります。
・酸素療法
酸素マスクや酸素室で体に十分な酸素を取り込めるようにします。
・原因疾患の治療
呼吸状態が安定したのちに、胸腔内に空気が漏れ出てしまっている原因に対しての治療を実施します。
原因によって治療は様々ですが、一部の腫瘍や異物、外傷などでは外科的処置が必要となることもあります。
また感染や自然発生の場合であれば内科療法により改善することもあります。
気胸は重度呼吸困難に陥るとそのまま命を落としてしまう可能性がある危険な疾患なので、家で呼吸が苦しそうであったり、怪我をした際は一度病院に相談してください。