猫の肝リピドーシス

病態
猫はエネルギー摂取量が低下すると、体脂肪が分解されて肝臓へ運ばれ、エネルギーとして利用されます。肝リピドーシスは、分解と消費のバランスが崩れて、肝臓に過剰に脂肪が蓄積され、肝機能障害などを引き起こす病気です。原因によって以下のように分類されます。
・二次性肝リピドーシス:胆管炎、膵炎、炎症性腸疾患、腫瘍、糖尿病、甲状腺機能亢進症などの基礎疾患に続発して発症するもの
・特発性肝リピドーシス:基礎疾患があきらかでないもの
症状
食欲不振、元気消失、体重低下、嘔吐、黄疸(粘膜が黄色くなる)、肝性脳症など
診断
確定診断には、麻酔下での肝生検(肝臓の組織を一部とって評価する検査)が必要ですが、状態が安定していない場合には、麻酔をかけずにできる検査(血液検査、画像検査、肝臓細胞診(細胞を見る検査)など)で暫定診断をつけて、治療にあたる場合もあります。
また、肝リピドーシスであると診断された場合、他に根本原因となるような基礎疾患がないかどうかも併せて評価する必要があります。
治療
入院下で、状態に合わせて以下の治療を行います。
・輸液療法(点滴による循環状態の改善、体内で不足している成分の補液)
・支持療法(十分な蛋白を含んだ食事を、少量から数回に分けて給餌)
・薬物療法(制吐剤、消化管運動促進剤、ビタミン剤、食欲増進剤など)
・基礎疾患の治療
肝リピドーシスは、早期から適切な治療を行えば回復がみこめる疾患です。特に肥満猫の急な食欲不振は、肝リピドーシスに陥りやすいといわれていますので、日々の体重管理も大切です。
愛猫の体調の変化があれば、まずは当院にご相談ください。