総胆汁酸(TBA)の上昇

胆汁酸は、肝臓でコレステロールから作られる、胆汁の成分の一つです。また、胆汁は、
脂質の消化を助ける働きを持つ成分です。総胆汁酸(TBA)は、肝臓と腸の間で縦貫する性質
(腸肝循環)を持つので、通常は血液中にほとんど存在しません。つまり、血液中に高い濃度の
TBAが認められれば、腸肝循環の障害や肝臓の機能異常の可能性が考えられます。
当院では、GOTやGPTなどの肝酵素に異常が認められた場合、さらなる精査のためにTBAの
測定を行います。
TBAの異常値が出る要因には、3つ挙げられます。
① 門脈と体循環の短絡(シャント、門脈体循環短絡)
② 胆汁のうっ滞
③ 肝機能不全
① 胆汁酸は本来、肝臓に回収され再び胆汁とともに分泌されるのが正しいルートですが
肝臓に回収されることなくそのまま血中に流れ出てしまうことにより血液中のTBAは
上昇します。これは、門脈と呼ばれる小さな血管が全身循環と短絡血管(シャント)を形成し、
本来肝臓に戻るはずの血液が、その血管によって全身に流れ出ることによります。
② 胆汁がうっ滞することによって血中のTBAが上昇します。これは、肝臓から胆のうへの
胆汁の排出がなんらかの原因によって阻害されて、全身の血流に胆汁成分が溢れてしまい、
その結果TBAが上昇してしまうという状況です。
③ 肝機能不全によっても、血中のTBAが上昇することがあります。
肝機能不全が起こっている場合には、①や②の病態も同時に発生している場合が多いです。
①、②、③のいずれも肝機能の低下を示唆する重要なサインであり、TBAの測定はこれらの
サインを逃さないための重要な検査です。
TBAの上昇が確認され慢性的な肝臓の疾患が疑われる場合は、肝生検や超音波画像検査を
はじめとする追加の検査を行なっていき、より正確に原因を特定していきます。また、
門脈体循環シャントを疑う場合は、CT検査により確定診断を進めていくことになります。
TBAの測定は一般的な検査の次のステップとして重要な検査の一つです。肝臓や胆道の疾患を
早期に発見できる可能性があるので、状況に応じて検査を行います。