乳歯遺残
病態
乳歯遺残とは乳歯が永久歯との交換時期を過ぎても脱落しないで長く残存している状態です。
通常、乳歯と永久歯の交換は生後4〜6ヶ月齢で徐々に起こります。
永久歯の生える時期が近づくと、永久歯は乳歯の歯根を吸収しながら押し出すように萌出します。歯根の吸収が十分に行われず、乳歯が脱落しない場合には晩期残存乳歯(乳歯遺残)を引き起こします。
これは猫よりも犬(特に小型犬)に多く、特に乳犬歯で見られます。
乳歯遺残があると永久歯が正常な位置に萌出できず不正咬合を招き、歯周炎、歯肉炎の原因となります。
診断方法
以下のいずれかに当てはまる場合、乳歯遺残と診断します。
・6ヶ月齢以上になっても乳犬歯が残存している場合
・6ヶ月齢前でも、永久犬歯が乳犬歯の長さの2/3以上に達している場合
・乳犬歯と永久犬歯が2〜3週間以上共存している場合
治療
乳歯抜歯を行います。
特に永久歯の萌出が十分でないときや、歯周炎があるときは、乳歯を残根させないよう確実に歯根を除去することが必要です。
乳犬歯は細くて長く湾曲しているため抜歯は困難で、麻酔科で抜歯をする必要があります。
当院では6ヶ月齢を超えた時点での避妊・去勢手術を推奨しておりますので、その際に乳歯が残存している場合は同時に乳歯抜歯も行うことをお勧めしています。