犬パルボウイルス感染症

病態
犬パルボウイルス(CPV)には、CPV-1とCPV-2が確認されています。CPV-1による
感染は通常症状がありませんが、CPV-2による感染は罹患率、死亡率が高く重度の
胃腸障害を引き起こす感染症として知られています。感染犬の糞便や嘔吐物などを
口からあるいは鼻から摂取することで感染が成立します。また、CPV-2は非常に強い
耐性をもち、環境中で1年以上生存することが可能であることが知られています。
症状
典型的な症状は以下の通りです。発症は潜伏期(感染から3〜7日)を経て現れます。
・激しい嘔吐
・水様性〜血様性の下痢
・食欲不振、元気消失
・発熱(または体温低下)
・脱水
・白血球減少による免疫低下
・重症例では敗血症・ショック
特に、子犬(生後6週〜6か月齢)で重症化しやすく、致死率は治療を行わない場合50〜90%に達することもあります。
診断
診断は以下の要素を組み合わせて行います。
1. 臨床症状・年齢・ワクチン歴
未接種またはワクチン不十分な若齢犬の嘔吐・血便は要注意です。
2. 糞便中ウイルス抗原検査(迅速キット)
院内で10分ほどで結果が出る一般的なスクリーニング検査です。
感度・特異度ともに高いですが、ワクチン接種後数日間は偽陽性となることがあります。
3. 血液検査
白血球減少(特に好中球の減少)が特徴的です。
電解質異常(Na、K、Cl)、低血糖、脱水などを評価します。
4. PCR検査
ウイルス遺伝子を検出する確定診断法です。感度が高く、軽症例やワクチン直後でも鑑別可能です。
5. 画像検査
胃腸の状態などを確認し、重症度評価の補助として用いられます。
治療
パルボウイルスの治療は、支持療法が中心となります。
輸液療法、抗生剤を用いた感染に対する治療、嘔吐に対する治療、痛みに対する治療、
栄養補給などを組み合わせて行います。また、免疫調節作用および抗ウイルス作用を期待して
インターキャットと呼ばれるお薬や抗ウイルス薬であるタミフルなどを用いることもあります。
予防
最も重要なのはワクチン接種です。
母犬からの移行抗体が減少する生後6〜16週齢にかけて複数回接種し、最終接種が16週齢
以降であることが推奨されています。
犬パルボウイルス感染症は、命に関わる感染症ですが、早期診断と集中的な治療が重要です。
そして何より予防接種の徹底で防ぐことができます。もし、子犬が元気をなくし嘔吐や血便
などが認められた場合には、当院までご相談ください。

