猫の原発性肥大型心筋症(HCM)

病態
肥大型心筋症(Hypertrophic Cardiomyopathy:HCM)は、主に左心室の心筋が
厚くなることで心臓のポンプや弁への負荷が高まり、さまざまな合併症を引き
起こす猫で最も一般的な心筋疾患です。原発性と、甲状腺機能亢進や高血圧など
から発生する続発性に分類されます。診断時の年齢は6ヶ月〜20歳齢で幅広いので、
どの年齢でも発症する恐れがあります。
症状
HCMの症状は非常に多様で、無症状のこともあります。急に重篤化するケースも
あるため、以下のサインを見かけたら早めの受診をお勧めします。
よく見られる症状:
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元気・食欲の低下
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呼吸が速い・呼吸困難(開口呼吸、舌や歯肉の色が紫色、白っぽい)
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失神・ふらつき
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突然片側または両側の後肢が動かなくなる・冷たい・強い痛がる
呼吸困難(速い呼吸、開口呼吸)やふらつき、失神、後肢の急な麻痺や強い痛みは
緊急性が高いので即時の受診をお勧めします。
診断
HCMは、心筋の肥厚の検出と除外診断により診断を行います。レントゲン検査や
血液検査、心電図検査などを実施しますが、最も重要な検査は心臓の超音波検査です。
超音波検査により、心筋の肥厚や心臓の内部のサイズ、心臓の機能(拡張能・収縮能)や
心臓内の血栓の有無などを評価し、診断を行います。
治療
HCMを完治する治療は現時点で確立していません。治療は症状のコントロール、
合併症の予防、心不全時の管理が中心です。個々の猫の病状によって治療方針は
変わります。重度な肥大型心筋症の症例では、β遮断薬や抗不整脈薬を使用する
ことがあります。心不全の発症リスクがある猫では、利尿薬が用いられることも
あります。また、血栓症の懸念がある場合には、抗血小板薬などを使用します。
肥大型心筋症は、無症状のことも多く気付かない間に病気が進行していることも多いので
日頃定期的な健康診断(心臓の超音波検査含めた検査)をお勧めします。また、急な
呼吸困難や後肢の麻痺、失神などみられた際にはできるだけ早く病院をご受診ください。
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