病気紹介

猫の骨肉腫

病態

骨を形成する骨芽細胞が腫瘍化した悪性腫瘍(がん)で、主に中高齢((平均8〜13歳)で多く発生します。

骨肉腫は約60〜70%が四肢に発生しますが、約30〜40%は下顎骨や骨盤など四肢以外の部位に発生します。

わんちゃんと比較すると猫ちゃんの骨肉腫の転移率は低いとされていますが、最近の報告では四肢に発生した骨肉腫の場合、手術後に約40%が肺や骨などに転移すると報告されています。

一方、リンパ節転移はまれです。

症状

骨肉腫は非常に強い痛みを生じます。

そのため、四肢に発生した場合は、跛行(びっこをひく)や挙上(足を地面につけない)などの症状が認められます。より進行すると元気・食欲の低下などが認められます。

また、骨肉腫ができている骨は非常に脆いため、軽い衝撃(段差から降りるなど)で骨折してしまうこともあります。

診断

骨肉腫の診断には主に組織生検(太い針をさして組織を採取する検査)が行われます。

ただし、この検査には疼痛を伴うので、鎮静や全身麻酔が必要となります。

また、採取される量自体は少ないため、骨肉腫と骨肉腫以外の腫瘍(軟骨肉腫など)とを区別できないこともあります。

そのため、最終的な診断には切除が必要な場合もあります。

一方、骨が溶けている部位から細い針をさすことで骨肉腫の細胞が採取される場合もあります。

ステージングおよび併発疾患の確認

骨肉腫と診断した場合、がんの大きさや広がり、遠隔転移(肺や骨などへの転移)の評価を行います。これをステージングといいます。

同時に併発疾患がないかどうかも評価します。

これらの評価には以下の検査を組み合わせて行い、評価を基に治療方針を決定します。

・血液検査:併発疾患(貧血や腎臓病、肝臓病など)の評価
・尿検査:併発疾患(腎臓病など)の評価
・レントゲン検査:遠隔転移の評価
・CT検査:がんの大きさや広がり、リンパ節転移、遠隔転移の評価
※骨肉腫の場合、より詳細に把握するため、CT検査が推奨されます。

骨肉腫のCT画像(赤丸:骨肉腫により骨が溶けている部位、青丸:正常な骨の部位)

治療

がんの治療には主に「根治治療(積極的治療)」と「緩和治療」があります。

「根治治療(積極的治療)」とはがんと闘う治療であり、がんをできるだけ体から取り除くことを目的とした治療です。根治治療(積極的治療)は長期生存(一般的には年単位)を目的とした治療であり、がんを治すことができる場合もあります。一方、非常に悪性度の高いがんでは、根治治療(積極的治療)を行ったとしても数カ月程度で亡くなってしまう場合もあります。根治治療(積極的治療)では主に「手術」、「放射線治療」、「抗がん剤治療・分子標的治療」を単独あるいは組み合わせて行います。

一方、「緩和治療」とは、がんによる苦痛を和らげることを目的とした治療です。緩和治療は長期生存を目的とした治療ではなく、たとえ短期間(一般的には月単位)であってもその期間の動物の生活の質を改善するために行う治療です。緩和治療では主に「痛みの治療」、「栄養治療」、「症状を和らげる治療」を単独あるいは組み合わせて行います。

・骨肉腫の根治治療(積極的治療)

根治治療として手術(四肢の骨肉腫であれば主に断脚)が適応となります。また、病理診断の結果次第では、手術後に抗がん剤などが適応となる場合があります。

・骨肉腫の緩和治療

症状のところで記載したとおり、骨肉腫は非常に強い痛みを伴いますので、痛みの管理が重要となってきます。そのため、診断の時点で転移が認められた場合でも痛みを管理する目的として手術(四肢の骨肉腫であれば主に断脚)が適応となります。

一方、鎮痛剤などを使用する場合もありますが、骨肉腫の痛みを薬のみでコントロールすることは困難な場合が多いです。

予後

・四肢の骨肉腫
2022年に発表された報告では、根治治療を行った場合の生存期間中央値は約1.5年ですが、4頭に1頭は約4.5年以上生存しており、比較的予後はいいです。

・四肢以外の骨肉腫
発生部位により異なりますが、根治治療を行なった場合の生存期間中央値は約半年であり、四肢の骨肉腫と比較すると予後は悪いです。

 

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