細菌性膀胱炎
病態
膀胱炎は膀胱に炎症が起きることを言います。
炎症の原因により、細菌性、結石性、特発性に分類されます。
症状として、頻尿、血尿、排尿痛、尿の悪臭などがみられます。
細菌感染が原因となる細菌性膀胱炎の一般的な感染経路は、
・尿道からの上行性感染
・腎臓からの下行性感染
・血行性、リンパ行性感染
・隣接組織からの拡大
などが挙げられます。
犬で最も多いのは上行性感染であり、50%近くで尿から大腸菌が分離されます。
猫では細菌性膀胱炎が少なく、膀胱炎のうちで1〜3%と言われています。
正常な膀胱は尿そのものや粘膜の抗菌力で守られており、感染が成立しにくくなっていますが、尿路結石の存在や尿量の減少、排尿障害、全身的な免疫不全などがあると感染しやすい状況となります。
診断
尿検査を行い、蛋白、糖、pH、潜血反応などを検査します。
また尿を遠心し底に沈んでくる沈渣成分を顕微鏡で観察し、細菌や結晶に加え、赤血球、白血球、膀胱粘膜上皮細胞などの有無を調べます。
細菌が認められた場合はグラム染色を行い、大まかに細菌の種類を予想します。
沈渣成分に細菌が認められない場合でも、尿培養を行えば細菌が確認されることがあるため、尿培養が推奨されます。
当院では治療に反応しない膀胱炎や、再発性の膀胱炎に対し、積極的に尿培養を実施しています。
その他、超音波検査で膀胱壁の肥厚や、結石、腫瘍の有無などを確認します。
治療
細菌性膀胱炎の治療は、尿培養結果に基づいて抗菌薬を投与することです。薬剤感受性試験にて菌の発育を阻害した抗菌薬を選択します。
膀胱炎が長期化したり再発を繰り返す場合は、原因となる他の疾患がある可能性があります。結石、腫瘍、免疫不全などの疾患がないか検査し、あれば治療します。