病気紹介

赤血球増加症(多血症)

病態

赤血球増加症とは、多血症とも呼ばれ赤血球の数や血球の容積、ヘモグロビン濃度が

正常値よりも上昇している状態をいいます。赤血球が多い血管では血液の粘稠度が

増加して血流障害を起こします。すると、全身性に様々な症状を引き起こす可能性の

ある疾患です。

 

症状

赤血球増加症は、初期の軽度な上昇では症状を示さないことが多いので、体の中で実は

赤血球が少しずつ上昇していても気づかないことがあります。

症状としては、粘膜の充血、鼻からの出血、喀血、血尿、血便、多飲・多尿、神経症状など

多岐に渡ります。肉球が、赤紫のような色になる紅斑が認められる場合もあります。

 

原因

赤血球増加症の原因には、相対的なものと絶対的なものに分けられます。

 

〈相対的赤血球増加症〉

・脱水

 

〈絶対的赤血球増加症〉

・心臓機能の異常による低酸素症(慢性肺疾患、動脈管開存症、心室中隔欠損など)

・腎臓の疾患(腎嚢胞、水腎症、腎盂腎炎、腎臓の腫瘍など)

・骨髄増殖性疾患

・その他(甲状腺機能亢進症、猫伝染性腹膜炎、リンパ腫など)

 

 

診断

赤血球の増加が脱水による相対的なものなのか、脱水以外の絶対的な

増加なのかを検査によって確認します。

絶対的な増加が疑わしい場合、画像検査(心臓や腎臓のレントゲン及びエコー検査)や

血液検査を行い原因がどこにあるのかを探ります。

 

また、エリスロポエチンと呼ばれる血液成分を測定することで絶対的な赤血球の増加症を

病気に続発する続発性赤血球増加症か、あるいは骨髄などの疾患が疑わしい原発性の赤血球

増加症かを鑑別することができます。

 

 

治療

赤血球増加症の治療は、疾患の元となる原因によって決まります。脱水による相対的な

赤血球増加症の動物には、点滴を行なって脱水を回復させる必要があります。

 

絶対的な赤血球増加症の場合、原因となる疾患に対した治療を行います。

心臓や腎臓に異常が見つかった場合は、そこに対する治療をまず行います。

治療を行なった上で、赤血球数が増加したまま変化がない場合は瀉血を行う場合もあります。

瀉血は、一定量の血液を動物から採取して一時的に赤血球数を減少させる治療法です。

 

そのほかにも、ヒドロキシカルバミドと呼ばれる骨髄抑制の化学療法を用いた内科的治療に

よって維持できる場合もあります。赤血球を増加させている原因を特定して、その疾患に

合った治療法を選択することが重要となります。

 

粘膜の充血、鼻からの出血、血を吐く、血尿、血便、多飲・多尿、肉球の色がおかしいなど

少しでも気になる症状があれば一度ご相談ください。