鉄欠乏性貧血

病態
鉄は、赤血球中のヘモグロビンの合成に必須の成分です。
鉄が不足すると、赤血球1個あたりのヘモグロビン量が減少してしまい、
その結果貧血が起こってしまいます。
犬・猫における鉄欠乏の原因には、慢性的な消化管出血、泌尿器や生殖器からの
持続的な出血、重度の外部寄生虫感染などが挙げられます。
※食事中の鉄不足「単独」で起こることは、総合栄養食を摂取している限り非常に
まれとされています。
症状
症状は 貧血の進行度と原因疾患 に依存します。
一般的な症状としては、元気消失、運動不耐性、食欲低下、粘膜蒼白などが
挙げられます。慢性的な貧血でみられることがある症状としては、体重減少、黒色便
などが挙げられます。慢性貧血の場合には進行も比較的ゆっくりのため、数値の割に
症状が軽度なことも少なくありません。
診断
鉄欠乏性貧血の診断は、血液検査所見と原因疾患の精査によって行います。
まず、血球検査によって血液濃度の低下や赤血球の形態の評価などを行います。
また、鉄代謝関連検査によって血清鉄濃度の低下、フェリチン低値、総鉄結合能
の上昇などを確認します。
最終的に、原因疾患の精査を各種検査(消化管寄生虫検査、腹部超音波検査、
内視鏡検査など)によって実施していきます。
治療
治療は 原因疾患の治療と鉄補充 が重要となります。
1. 原因疾患の治療
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寄生虫駆除
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消化管疾患や腫瘍の治療
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出血源のコントロール
→ これが行われない限り、鉄補充のみでは再発してしまいます。
2. 鉄補充療法
経口鉄剤が第一選択です。鉄吸収には数週間を要すると言われています。
また、治療は貧血改善後も 1–2か月継続 することが推奨されています。
重度例や吸収不良が疑われる場合には注射製剤が選択されることもあります。
3. 輸血
重度の貧血で臨床症状が強い場合に検討されます。あくまで、鉄欠乏そのものの治療ではなく
支持療法であることに注意が必要です。
まとめ(飼い主さんへ)
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鉄欠乏性貧血は 慢性的な出血が原因で起こることが多い
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食事だけが原因になることはまれ
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原因を調べずに鉄だけ補うのは不十分
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早期発見と原因疾患の治療がとても重要
なんとなく元気がない、食欲元気がない、歯茎や舌の色が白いなど感じた場合、
当院までご相談ください。

