鼠径ヘルニア

病態
鼠径ヘルニアは、足の付け根にある隙間(鼠径輪)から、本来お腹の中にあるはずの臓器(脂肪、小腸、膀胱、子宮など)が皮膚の下に飛び出してしまう状態を指します。
鼠径輪は血管や神経などが通るための隙間であり、何らかの原因で正常より広がることでヘルニアを起こします。
・先天性
・後天性:交通事故などの外傷、肥満、加齢による筋肉の衰えなどが原因。特に未避妊のメス犬ではホルモンの影響で発生しやすい傾向があります。
足の付け根に何か軟らかいものが膨らんでいる状態で見つかることが多いです。
症状
飛び出している臓器や、鼠径輪に締め付けられているかどうかによって症状が異なります。
軽度であれば腸や膀胱が飛び出した場合でも症状に表れないことがあります。
・下痢や食欲不振、嘔吐などの消化器症状:腸が飛び出した場合
・排尿障害、血尿などの泌尿器症状:膀胱が飛び出した場合
上記の臨床症状に併せて発熱や疼痛、一般状態の低下など併発した場合は、鼠径輪の締め付けによって飛び出した臓器の血流が滞っている可能性があるため注意が必要です。
診断
・触診:感触である程度臓器を推測できます。膨らみを優しく押し、お腹の中に戻るかを確認します。
・腹部エコー検査:飛び出した臓器を特定します。
・レントゲン検査: 腸管内にガスが溜まっていないか、位置が異常でないかを確認します。造影検査を行うこともあります。
治療
治療には外科手術が必要です。
飛び出した臓器を腹腔内に戻し、広がった鼠径輪を縫合します。
血流不全により臓器の壊死が進んでいる場合は、その部分を切除する必要があります。
無症状では経過観察を選択することもありますが、特に先天性の場合は将来的なリスクを避けるため、避妊・去勢手術と同時に手術することが多いです。
気になることがあればぜひ当院にご相談ください。

