BUNの上昇

食物中に含まれるタンパク質は、消化管で分解されてアミノ酸となります。
アミノ酸は、筋肉のような体タンパクを合成するほか、生命活動に必要な
エネルギー源を得ています。
アミノ酸からエネルギーを得る過程で発生したアンモニアは肝臓で解毒され
尿素となり、腎臓から体外に尿として排泄されます。
血液尿素窒素(blood urea nitrogen: BUN)は、窒素化合物のひとつです。
BUNが、正常値(犬で9.2~29.2mg/dL、猫で17~32.8mg/dL)よりも高くなっている場合、
どのようなことを示すのでしょうか。
タンパク質を過剰に摂取すれば尿素が多く産生され、BUN高値の原因となります。
また、体のタンパク質の異化(体内のタンパク質を分解してエネルギーに変換する働きが
亢進することによってもBUNは上昇します。脱水による循環血液量の減少、心不全による
心拍出量の低下などによって腎臓の血流量が低下すると、腎臓のろ過率が低下します。
すると、尿素の排泄が低下と再吸収の亢進によりBUNが上昇します(腎前性高窒素血症)。
また、腎臓のネフロンと呼ばれる構造が75%以上壊れるとろ過率が低下するため、
BUNが高値となります(腎性高窒素血症)。
そのほかにも、結石などにより尿の通り道が閉塞したり、破裂したりすることによって
尿素の排泄障害が起き、体の中に尿素が蓄積して、BUNが上昇することもあります
(腎後性高窒素血症)。
これらのように、BUNの上昇は様々な原因により上昇します。
BUNの上昇が認められた場合、当院ではレントゲン撮影やエコー検査などにより詳しく
病変部をみていきます。場合によっては、腎臓の保護剤の処方や腎臓をサポートする
フードへの切り替えなどをお勧めしています。