CRPの上昇
犬や猫の体に細菌やウイルスが感染した時や、傷などをおった時、
自身の体を守る反応として炎症が起こります。炎症反応は、異物や
死んでしまった自分の細胞を排除して体の健康を維持しようという反応ですが、
この反応が過剰に起こると組織や臓器が障害され、ひどい場合には生命の危険を
伴うこともあります。炎症が起こると、CRP (C反応性タンパク) と呼ばれるタンパク質の
血中濃度が上昇します。
炎症性の刺激が起こってから、6時間程度で急性相タンパクの血液中の濃度は上昇し始め、
24~48時間程度でピークに達します。炎症性の刺激が収まると、数時間から12時間程度で
血液中濃度も減少していきます。つまり、炎症が動物の体で起こっていると急激にCRPが
上昇し、その後間も無く数値が減少していくと言う事です。
犬の場合にはCRPの上昇で炎症の判断を行いますが、猫の場合はCRPではなくSAAと呼ばれる
タンパク質を用います。それぞれ基準値は、犬:CRP(C反応性タンパク) 0.7mg/dL以下
猫:SAA(血清アミロイドA) 2.5μg/mL以下 となっています。この数値を超えてきた時には
炎症の存在を疑います。
犬でCRPの上昇が認められると、子宮蓄膿症のような細菌感染による感染症、
免疫介在性疾患、腫瘍性疾患などの全身性に影響を及ぼすような疾患が疑われます。
猫でSAAの高値が認められた場合、犬と同様に感染や免疫介在性、腫瘍性などの原因が
挙げられます。また、猫の伝染性腹膜炎でSAAが高値を示す場合もあります。
検査結果が、明らかに異常を示した場合には、なんらかの疾患が存在していると考え、
検査を進めていく必要があります。当院では、血液検査や、レントゲン・エコーなどの
画像検査によって全身状態を把握し、場合によってはCT検査などを行い、原因となる疾患を
特定していきます。