病院/バイタルサイン/高齢

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NMBって何?

院長の萩森です。

前回のブログで、なるべく飼い主さんの声に耳を傾けた診察をという内容で書かせてもらったが、その言葉をよく表した診療理念にNBM(Narrative-based Medicine)物語と対話による医療という言葉があるので紹介したいと思います。

通常、私たち医療の分野ではEBM(Evidence-based Medicine 根拠に基づいた医療)という診療理念が重視されている。

つまり、統計学的に有効性が証明された治療を選択することにより、より効果的な質の高い医療を提供することを目的としている。

 

しかし、EBMは全ての患者に有効であるわけではない。その有効率は60~90%とされ、有効でない患者が40~10%%存在することになる。また、根拠になるデータが十分そろっていない疾患、治療が困難な疾患、高齢時のケア、死に至る病気、あるいは精神に関わる病気などEBMを適用できない場合もある。そのために、EBMで有効とされる医療技術を患者に応用するか否かは、患者の病状や副作用を考慮し、家族の価値観や意向を取り入れ獣医師の経験を活かして決めることが望ましい。

こうした考え方から、EBMを実践してきた英国から提唱されたのがNBM(Narrative-based Medicine ナラティブ・ベイスト・メディスン 物語に基づいた医療)です。「ナラティブ」は「物語」と訳され、患者が対話を通じて語る病気になった理由や経緯、病気について今どのように考えているかなどの「物語」から,医師は病気の背景や家族関係を理解し、家族の抱えている問題に対して全人的(身体的、精神・心理的、社会的)にアプローチしていこうとする臨床手法です。

 
EBMとNBMは対立するものではなく、むしろ、互いに補完するものといえるので、特にホームドクターは両方の考えを取り入れた治療を心がける必要があると思います。

スペシャリスト(専門医)であればあるほど、EBMを重視し、客観データに基づいた治療が必要であるとは思うけれど、なるべく自分はスペシャリティを持ったホームドクターでありたいと思う。

院長 萩森