腫瘍(ガン)/手術/検査

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犬乳腺腫瘍のマイクロサテライト解析について

獣医師の梶村です。
今回は乳腺腫瘍の検査について説明します。

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乳腺腫瘍は中高齢の未避妊雌において最も一般的に認められる腫瘍です。
ホルモンと腫瘍の発生には関連性があり、初回発情前に避妊手術を実施した犬の腫瘍発生率は0.5%、2回目の発情までに手術を行った犬では8%、2回目の発情以降に手術を実施した犬では26%の発生率となっています。
それ以降での避妊手術でも、腫瘍を予防できる可能性があるので、長期的な予後が望める場合は、手術をすすめます。

未避妊雌で発生した腫瘍の悪性と良性の比率は1:1といわれています。
良性と悪性の確定診断には、手術で切除したものを病理検査に出すことで分かります。
それ以外では腫瘍の大きさや、成長速度、細胞診の結果、皮膚の自壊があるかないかなどである程度の判断をします。

基本的には手術で切除して、病理検査で確定診断というのが普通の流れです。
しかし麻酔をかけるのにリスクがある子、飼い主様が麻酔をかけたくないという場合などに、従来の細胞診、大きさ、成長速度、皮膚の自壊以外に参考になる検査が最近実施されています。

それはマイクロサテライト解析という検査で、 遺伝子検査による良性、悪性の鑑別を行います。
検査の材料は針生検で使ったもので可能なので、負担も少ないです。

解析結果が陽性であれば悪性の可能性が高く、陰性であれば良性の可能性が高いです。
ただし5%は偽陽性(本当は陰性でも陽性と判断されること)となり、20%は偽陰性(本当は陽性でも陰性と判断されること)となるもこともあるので、その結果だけでなく、細胞診の結果、大きさ、成長速度、皮膚の自壊などを参考にして、判断しなければなりません。
そしてその判断から、経過観察するか、手術で切除するか、また手術するならどのような術式で行うかを相談していくこととなります。

 
このように検査が増えることで、より多くの選択肢を提供できるようになりました。
乳腺腫瘍は犬で最も見られる腫瘍です。
良性なのか悪性なのか、不安に思われている方は一度相談してください。

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獣医師 梶村

 

かもがわ動物クリニック