予防
犬のフィラリア症
病態
犬のフィラリア症は、犬糸状虫症とも呼ばれ、Dilofilaria immitisと呼ばれる虫が寄生して発
症する病気のことを言います。フィラリアの成虫は肺の血管や肺自身の傷害を起こし、重症の
時には肺や心臓が主に傷害されます。
症状
軽度の場合、ときどき咳をする、運動を嫌がるなどの症状がみられますが、無症状であること
も少なくありません。中程度になると、咳が増え、運動を嫌がります。また、元気がなかった
り食欲が低下します。重度になると、運動後の失神、呼吸困難、持続的な咳、お腹が膨らんで
いるなどの、全身状態の悪化がみられます。急性症状では、大静脈症候群(ベナケバ・シンド
ローム)と呼ばれる致死的な病態におちいることがあります。食欲不振、呼吸困難、ぐったり
している、舌や粘膜の色が白くなっている(貧血状態)、おしっこに赤い色素が出る血色素尿
がみられることがあります。
診断
・血液中にミクロフィラリア(フィラリアの幼虫)が存在しているかを、顕微鏡で確認します。
・フィラリア成虫の血清検査が陽性である
・臨床症状に一致するx線変化が見られる
治療
駆虫薬によって、寄生しているフィラリアを駆除します。ただし、成虫が心臓で死ぬと血管に
詰まったりして重篤な症状を引き起こすことがあります。手術の場合、首の血管から特殊な
器具を挿入して心臓から成虫を取り出します。積極的な駆除を行わず、症状を和らげる処置
を行うこともあります。しかし、どの治療法も命の危険を伴うものなので、日頃からの予防が
とても重要です。