犬
元気がない、ぐったり/食欲がない/血尿、尿が出ない
免疫介在性溶血性貧血(IMHA)
動物 | 犬 |
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種類 | 雑種 |
性別 | 避妊メス |
年齢 | 5歳 |
地域 | 京都市北区 |
症状/病態 | 元気がない、食欲がない、血尿、貧血 |
考えられる病気 | 免疫介在性溶血性貧血、膀胱炎、腫瘍、外傷、その他 |
元気、食欲がなく、血尿が出ているとのことで来院されたワンちゃんです。
尿の色は写真のような赤い色でした。
身体検査では歯肉などの粘膜色が白っぽくなっており貧血が疑われました。また39.3度の発熱が見られました。
血液検査では、血液の濃度を表すPCVという数値が16%(通常40~60%程度)に低下し重度の貧血を起こしていることがわかりました。
またビリルビン値6.7、CRP値7.8の上昇が見られ、体で強い炎症が起きて赤血球が破壊される「溶血」が起こっていることが示されました。
血液を顕微鏡で観察すると、破壊された赤血球である「球状赤血球」が多く見られました。
レントゲンと超音波検査で腫瘍などの基礎疾患がないことを確認し、また寄生虫やウイルスなどの感染症がないことを確認した結果、免疫介在性溶血性貧血(IMHA)と診断して治療を開始しました。
ステロイドを5日間投与したところPCVは20%まで改善しましたが、改善が不十分だったためもう1種類別の免疫抑制剤の投与を追加しました。
10日後にはPCVが30%まで改善し、ビリルビンやCRPの数値も大幅に改善が見られました。
その後はステロイドを徐々に減薬しながら、再発しないよう注意して経過観察中です。
血尿という症状でも、全身の大きな病気が存在していることがあります。
今回のように投薬ですぐに改善が見られる場合もあれば、さらに複数種類のお薬の使用や輸血、脾臓摘出手術が必要となる場合もあります。
また当院では再生医療も行えます。
気になる症状が見られた場合は獣医師にご相談下さい。