本日の一症例

胸の中のしこり

腫瘍科(ガン)/外科

犬の胸腺癌

動物
種類 柴犬
性別 避妊雌
年齢 16歳
地域 京都市左京区
症状/病態 前胸部腫瘤
考えられる病気 胸腺腫・胸腺癌・リンパ腫・異所性甲状腺癌など

別の病気の精査のため、レントゲン検査を実施したところ胸の中にできものが見つかりました。
エコー検査、CT検査では、縦隔から発生する腫瘍が疑われたため、細胞診検査を実施したところ胸腺腫が疑われました。

わんちゃんの胸腺腫は、手術で切除することで治すことが期待できる場合が多いです。
一方、まれにリンパ節や肺に転移することがあり、この場合は胸腺癌と診断され、手術後も定期検診が必要となります。
このわんちゃんはCTで胸腺のみではなく、リンパ節も腫れていたので、同時に手術で切除することとしました。

以下、手術の写真となります。苦手な方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


胸部腹側の皮膚を切開し、胸骨を露出しました。


胸骨を切開すると、左右に血管(青矢印)があるので、それらを結紮しました。


腫瘍とリンパ節を確認し(青丸)、周りの臓器を傷つけないように腫瘍とリンパ節のみを慎重に切除しました。


切除後の写真です(青丸は腫瘍が認められた位置です)。

最後に胸を閉じて手術を終了しました。

手術は無事終了し、術後も大きな異常はなく、術後6日目に退院しました。
病理検査は胸腺癌であり、完全に摘出されていましたが、リンパ節に転移が認められました。
今後は再発や転移チェックを行なっていく予定です。

 

当院では、獣医腫瘍科認定医による腫瘍科専門外来を行なっております。

詳細は下記のリンクをご参照ください。

https://www.kamogawa-ac.jp/cancer-treatment-specialty/

診断名

犬の胸腺腫・胸腺癌