他の病院で胸の中にできものがあるとのことで当院に紹介来院しました。

当院のレントゲンやエコー検査、CT検査では、縦隔から発生する腫瘍が疑われたため、細胞診検査を実施したところ胸腺腫と診断しました。

 

猫ちゃんの胸腺腫はまれな腫瘍ですが、手術で切除することで治すことが期待できます。

しかしこの猫ちゃんは胸腺腫とあわせて、肝リピドーシスという肝臓の病気も認められたので、まずはその治療を優先し、状態がよくなった後に手術をすることとしました。

 

以下、手術の写真となります。苦手な方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

胸を開けて腫瘍を確認しました（青丸）。

血管を結紮（青矢印）し、腫瘍をより確認しやすくしました（青丸）

周りの臓器を傷つけないように腫瘍のみを慎重に切除しました。

切除後の写真です（青丸は腫瘍が認められた位置です）。

胸を開ける際、骨を切除するため、骨が左右ずれないように縫合して胸を閉じました。

最後に皮膚を縫合して手術終了です。

 

手術は無事終了し、術後も大きな異常はなく、術後6日目に退院しました。
病理検査は胸腺腫であり、完全に摘出されていました。
胸腺腫は手術で治すことが期待できるため、今後は紹介元病院と連携をとりながら、再発や転移のチェックを行なっていく予定です。