猫
びっこをひく
腫瘍科(ガン)/猫科(猫の病気)/外科
猫の骨肉腫(後肢断脚)

動物 | 猫 |
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種類 | MIX |
性別 | 去勢雄 |
年齢 | 8歳 |
地域 | 京都市山科区 |
症状/病態 | 後肢の跛行 |
考えられる病気 | 関節炎、骨折、骨・関節原発腫瘍など |
右後肢の跛行を主訴に紹介元病院を来院され、レントゲンで骨が一部溶けていたため、細胞診を実施したところ、骨肉腫が疑われるとのことで当院を紹介来院しました。
右膝部付近が腫脹しており、触ると痛みが認められました。痛みがかなり強かったため、ご家族と相談し、手術(断脚)を行うこととしました。
断脚を行うと、その後は3本脚での生活となります。そのため、なかなか受け入れ難い手術ですが、今回のように骨に腫瘍が発生している場合、痛みが強く、薬ではなかなか痛みを改善できません。
この猫ちゃんも痛み止めを使用していましたが、完全に痛みはなくなっていませんでした。そのため、痛みを改善させるためには断脚が必要となることが多いです。3本脚になったとしても、少し時間はかかりますが、多くの子が歩様できるようになります。
以下、手術の写真となります。苦手な方はご注意ください。
(写真や動画はご家族のご承諾のもとあげさせていただいております)
切開するラインをマーカーで引いておき、これに沿って皮膚を切開していきます(今回は下側の青いラインで切開しています)(左写真:足の外側、右写真:足の内側、赤丸:腫瘍がある位置)。
大腿骨内側の血管(青矢印)と筋肉を切除していきます。
次に大腿骨外側の筋肉を切除していきます。
最後に股関節周辺に付着する筋肉を切除し、股関節の靱帯を切除すると、摘出されます。
筋肉、皮下組織、皮膚を縫合して手術終了です。
この猫ちゃんは術後の回復も早く、次の日には歩くことができており、術後4日目に退院しました。また、2週間後にはご自宅の階段も走って登れるようになリました(動画)。
病理診断は骨肉腫であり、ご家族は痛みの改善のみを希望されたため、抗がん剤などは行わず、定期検診のみ行っていく予定です。
断脚は比較的大きな手術となり、見た目も変わるため、なかなか受け入れ難い手術ですが、断脚することで痛みをとってあげることができ、多くの動物は問題なく生活することができるようになります。断脚に不安を感じているご家族がいらっしゃいましたら当院にご相談ください。
当院では、獣医腫瘍科認定医による腫瘍科専門外来を行なっております。
詳細は下記のリンクをご参照ください。