本日の一症例

内分泌系科(ホルモン・代謝異常)

糖尿病性ケトアシドーシス

動物
種類 Mix
性別 去勢雄
年齢 11歳5ヶ月
地域 京都市東山区
症状/病態 元気消失、食欲低下
考えられる病気 消化器疾患、内分泌疾患、心臓病、腫瘍性疾患など

昨日から元気がなく、食欲も低下していることを主訴に来院されました。

 

身体検査と各種検査より重度の脱水が疑われました。

また、血液検査で血糖値(グルコース)の上昇、ミネラルバランスの大幅な乱れを確認し、尿検査では尿糖、ケトンの陽性を認めました。

 

以上の結果より、糖尿病性ケトアシドーシスと診断し入院下での治療を開始しました。

 

糖尿病性ケトアシドーシスとは、インスリンの作用が不足してしまう糖尿病により、ケトン体という酸性物質が体内に蓄積し、身体のバランスが酸性に傾いてしまうこと病態のことを指します。

糖尿病の合併症の中でも命に関わる緊急疾患として知られています。

 

この猫ちゃんは入院下で、静脈点滴による水和とインスリンの持続点滴、ミネラルの補正を開始しました。

ミネラルの補正とは具体的に、インスリンを入れるとグルコースと一緒にカリウムやリンなどが細胞の中に入り、血液中のものがかなり不足してしまうため、それらを補う点滴を実施しました。

 

翌日には尿中にケトンは見られず食欲も出てきて、ケトアシドーシスの病態からは脱却できたため、インスリンを持続点滴から皮下注射に変更しました。

 

この猫ちゃんはそのまま順調に回復し、退院後の現在も糖尿病に対するインスリン治療を行っており経過は良好です。

 

 

この猫ちゃんは糖尿病であることもこの当日の検査で初めて発覚しました。この子のように知らない内に糖尿病を発症し、元気や食欲が落ちて病院を受診した際に糖尿病性ケトアシドーシスと診断されることも少なくありません。

 

糖尿病の症状はそれほど気付きにくく、一見元気に見える場合が多くあります。

 

水を飲む量が増えた、おしっこの量が増えた、食欲が旺盛になってきた、たくさん食べているはずなのに体重が減っているなど、少しでも気になる点があれば1度当院までご相談ください。

診断名