心原性肺水腫

病態
肺水腫とは、何らかの原因で肺に水が溜まり、うまく呼吸ができなくなる病気です。呼吸不全により死に至る可能性もあります。
心原性肺水腫とは、心臓の病気により血液循環が破綻することで、肺に水が溜まる病気です。原因となる心疾患は、犬では弁膜症、猫では心筋症が多いです。
症状
一般的な症状としては、①呼吸不全、②血液の循環障害による症状がみられます。
① 呼吸不全:浅く速い呼吸、開口呼吸、努力呼吸など
重篤な場合、口からピンクの泡沫状液(気道に溜まった水)の排出がみられることもあります。
② 循環不全:粘膜蒼白(歯茎が白くなる等)、頻脈または徐脈、低血圧、低体温など
診断
酸素吸引をさせながら動物の呼吸状態に注意しつつ、主に以下の検査を行います。
・画像検査(肺・心臓の超音波検査、X線検査)
・呼吸機能評価のための検査(血中酸素濃度の測定、血液ガス分析)
・血液検査
これらの検査で、重症度や緊急度の判断、肺と心臓の評価、原因心疾患の特定などを行います。ただし、呼吸状態が悪い動物は体位変換で症状が悪化する可能性があるため、必要な検査を選択して優先的に実施します。
治療
・酸素療法
酸素マスクや、酸素室での管理を行います。それでも自力呼吸では状態維持が難しい場合は、気管にチューブを入れて機械で呼吸を助ける人工呼吸管理を行うこともあります。
・循環管理
心臓の負担を軽減するために利尿薬や血管拡張薬、心臓の働きを強めるために強心薬などを使います。
これらの治療で緊急度の高い状態を乗り越えることができれば、その後は慢性心不全の治療に移行します。