涙やけ(流涙症)

病態
涙は本来鼻涙管と呼ばれる管を通って鼻へ抜けますが、涙の産生量が多い場合や、鼻涙管が詰まってしまった場合は目から溢れてきます。そして、顔に涙がこぼれ出すことにより被毛が濡れ、涙の成分によって赤褐色に変色します。これが涙やけという状態です。
元々涙の分泌システムは、基礎分泌と反射による分泌の2つに分類されます。
・基礎分泌
瞬きの度に常に分泌され、目の表面の乾燥を予防します。また、粘膜や角膜を保護し酸素や栄養を与えます。
・反射による分泌
異物などにより角膜が刺激されると、大量の涙が分泌されます。これにより、異物を洗い流して角膜の傷の治りを促進し、外傷から眼球を保護します。反射性分泌は痛みを原因とする涙であるため、痛みの原因を早期に診断し治療を開始する必要があります。
原因
大きく2つに分類されます。
<涙の産生の増加>
①涙をつくる涙腺の炎症によるもの
②反射によるもの:異物やまつげの異常、角膜障害、ぶどう膜炎、緑内障、水晶体前方脱臼など炎症を伴う目の疾患による
<涙の排泄の異常>
①鼻涙管の先天異常(生まれつきの異常):鼻涙管欠損、鼻涙管狭窄など
②後天的な鼻涙管の閉塞または狭窄:炎症によりできたもの、異物、腫瘍
診断
まず、視診により、症状が本当に涙のみか判断します。片側だけなのか、目ヤニが出ていないか、目をしょぼしょぼさせていないかなどを確認します。
次にフルオレセイン染色という染色液を利用して鼻涙管がきちんと通っているかを両側で確認します。鼻涙管が通っていれば数秒で鼻に染色液が抜けてくるのが観察できます。抜けてこなければ、鼻涙管の排泄異常による流涙症と診断できます。
治療
目の疾患が原因の場合は、原因疾患を治療することで改善されます。
炎症によるものや鼻涙管閉塞の場合は、全身麻酔下で鼻涙管洗浄を行ったり、抗菌薬の点眼や場合によっては内服薬を投与したりすることもあります。
検査や治療法に関しての詳しいお話は、診察の際やお電話でもお答えしますのでお気軽にご相談ください。