異嗜

異嗜(いし)とは、食べ物ではないもの(異物)を繰り返し食べてしまう状態を指します。
例えば以下のようなものです:
- 石・土・砂
- 糞
- 布・靴下・下着
- ビニール・プラスチック
- 紙・木・ゴミ など
「少し噛む」だけでなく、実際に飲み込んでしまう場合に異嗜と呼ばれます。
この行動は単なる癖ではなく、病気のサインであることもあります。
病態
異嗜は大きく 「身体的な原因」と「行動学的な原因」に分かれます。
■ 身体的な原因(見逃してはいけない)
- 貧血(鉄欠乏など)
- 消化器疾患(炎症性腸疾患など)
- 寄生虫感染
- 肝臓・膵臓疾患
- 糖尿病やクッシング症候群
- 栄養不良・吸収不良 など
→ 特に「土を食べる」「同じものを執着して食べる」場合は注意が必要です。
■ 行動学的な原因(実は多い)
- 退屈・運動不足
- 分離不安(留守番時に悪化)
- ストレス・不安
- 注意を引くための行動
犬では、心理的要因が最も一般的とされています。
■ なぜ危険なのか?
異嗜は単なる癖ではなく、以下のリスクがあります:
- 腸閉塞(最も危険)
- 消化管穿孔
- 中毒
- 歯の損傷
- 嘔吐・下痢・食欲不振
→ 「元気だから様子見」は危険です!
診断
異嗜の診断で最も重要なのは原因が病気からくるものなのかどうかを見極めることです。
■ 基本的な検査
- 血液検査(貧血・内臓疾患)
- 糞便検査(寄生虫)
- 尿検査
■ 必要に応じて
- レントゲン(異物・腸閉塞)
- 超音波検査
- 神経学的検査
- 追加ホルモン検査
■ 行動か病気かの判断
すべての検査で異常がなければ行動学的な異嗜(問題行動)の可能性が高いです。
ただし「行動だと思っていたら病気だった」というケースも多いため、各種検査を
しっかり行った上で診断することが重要です。
治療
原因によって治療は大きく変わります。
① 身体的原因がある場合
- 基礎疾患の治療(例:IBD、貧血など)
- 寄生虫駆除
- 栄養管理の見直し
→ 根本治療ができれば、異嗜が改善するケースも多いです。
② 異物を食べてしまった場合(緊急対応)
- 内視鏡摘出
- 開腹手術
③ 行動学的異嗜の場合
- 運動量・遊びの増加
- 環境エンリッチメント(知育玩具など)
- 不安軽減(トレーニング・場合によっては薬)
→単なる「しつけ」ではなく、環境改善や行動修正が必要です。
まとめ
異嗜はただの癖ではなく、病気のサインの可能性があります。食べ物以外を繰り返し食べる
行動は正常ではありません。このような症状で悩まれている方は、一度当院までご相談ください。

