肛門周囲腺腫

病態
肛門周囲腺から発生する良性の腫瘍を指す。
肛門周囲腺は肛門以外にも、包皮、尾、腰背部の皮膚にも存在するためこれらの部位に腫瘍が見られることもある。
腫瘍化には男性ホルモンであるテストステロンの刺激が関わっており、そのため去勢手術をしていない高齢のオスで最もよく発生が見られる。
稀ではあるもののメスで見られることもある。
症状
上記の部位に、単発または多発性にしこりが発生する。
拡大速度は緩徐ではあるが、長期間無治療で経過すると数センチを越えたり、表面が潰瘍化する場合もある。
診断
細胞診(針で腫瘍を刺し細胞を採取する検査)にて肛門周囲腺由来の細胞が採取される。
しかし、悪性の「肛門周囲腺癌」との区別は細胞診だけでは困難であるため、性別、去勢手術の有無、大きさや拡大スピードなどの経過などから総合的に診断する。
治療
テストステロンが関わるため、治療の第一選択は去勢手術である。
多くの場合、去勢手術のみで腫瘍の退縮が見られる。
メスや、すでに去勢済のオスの場合は腫瘍そのものの切除を行う。
完全切除後の補助療法は不要であり、予後は良好である。
当院では、獣医腫瘍科認定医による腫瘍科専門外来を行なっております。
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