脾臓の腫瘍

病態
脾臓は、古くなった赤血球の破壊や、免疫応答などの機能を持つ臓器です。
脾臓の腫瘤が見つかった場合に考えられる主な可能性は以下の通りです。
①腫瘍性疾患
・良性腫瘍 … 血管腫、線維腫、平滑筋腫など
・悪性腫瘍 …血管肉腫、未分化肉腫、リンパ腫、肥満細胞腫、悪性組織性肉腫など
②非腫瘍性疾患
血腫、結節性過形成、脾臓炎、膿瘍など
脾臓の腫瘍性疾患に関しては「2/3の法則」があります。
脾臓にできた腫瘤のうち2/3が腫瘍であり、腫瘍のうち2/3が悪性腫瘍、さらにその2/3が血管肉腫であるという統計です。
つまり、脾臓の腫瘤の約半数近くが悪性腫瘍であると言えます。
また脾臓は血管が非常に豊富な臓器であるため、放置すると腫瘍・非腫瘍に関わらず腫瘤の破裂による腹腔内出血のリスクがあります。
以上を考慮すると、脾臓に腫瘤が認められた場合には速やかな摘出が推奨されます。
診断
超音波検査により腫瘤の存在を確認します。
脾臓は血流の非常に豊富な臓器であるため、細胞診(針で腫瘤を刺して細胞を取ってくる検査方法)は出血のリスクが伴います。
そのため確定診断には外科切除(脾臓全摘出)による病理検査が必要となります。
ただしリンパ腫や肥満細胞腫などで病変がびまん性に及んでいる場合はエコー下での細胞診が可能である場合もあります。
治療
上述の通り、脾臓の腫瘤は腫瘍・非腫瘍に関わらず破裂し出血するリスクがあるため、外科的な脾臓全摘出が推奨されます。(脾臓を全摘出しても、今までと変わりなく生活することができます。)
病理検査結果によっては手術後の補助療法(化学療法など)が必要となる場合があります。
当院では、獣医腫瘍科認定医による腫瘍科専門外来を行なっております。
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