重症筋無力症

病態
重症筋無力症は、神経から筋肉への伝達経路の一部分(ニコチン性アセチルコリン受容体:AChR)に対して自己抗体が産生されてしまう、自己免疫疾患です。生まれつきの「先天性」と、後から病気になる「後天性」があります。
犬の後天性重症筋無力症では、甲状腺機能低下症、胸腺腫やその他腫瘍、副腎皮質機能低下症などが関与することがあります。猫では30~50%ほどが胸部腫瘤を併発していると言われています。
症状
筋肉にうまく信号が伝わらないことで、嚥下障害(飲みこむ力の低下)、筋力低下(運動を続けるとすぐに疲労し継続困難となる状態)、呼吸困難などがみられます。後天性重症筋無力症は、症状の発現部位や程度により、以下の3つに分類されます。
〇限局性:吐出や嚥下障害、顔面筋の虚弱など
〇全身性:吐出や嚥下障害、四肢の虚弱など
〇劇症型:全身性の虚弱、呼吸筋虚弱による呼吸困難など
診断
・テンシロン反応テスト(注射後に、数分間だけ筋力増加がみられる)
・血液中の抗AChR自己抗体の測定
・他疾患の除外、併発疾患の確認のための全身検査(血液検査、画像検査、内分泌検査など)
治療
・抗コリンエステラーゼ阻害薬
・免疫抑制療法
・輸液療法
・栄養補助(立食、その後10~20分立った姿勢を保つ。)
状況に応じてこれらの治療を行います。
犬の後天性重症筋無力症は、90%が治療に反応するという報告もあり、比較的予後は良好です。ただし、嚥下障害から肺炎を併発したケースや、劇症型重症筋無力症の場合、呼吸困難で亡くなる可能性があり、予後には注意が必要です。一方、猫では長期的な内科管理を必要とする場合が多いとされています。
気になる症状がある場合は、お気軽に獣医師までご相談ください。

