病気紹介

分離不安症

病態

動物が愛着を感じている人と離れた時に、苦痛を伴うストレス反応のことを

分離不安症と言います。

 

このストレス反応には、破壊行動・過剰な吠え・不適切な場所への排泄などのような

行動的な不安症状や嘔吐・下痢・震え・皮膚炎のような生理的症状が見れれることが

あります。

 

犬、猫に関わらずどの品種でも発症する可能性のあるもので、多くの犬は3歳までに、猫は

5歳までに分離不安と診断されることが多いです。また、高齢犬も加齢に伴い不安傾向が

高くなり、分離によるストレス徴候を示すことがあります。

 

原因

飼い主やその家族が常に一緒にいる環境で育てられた犬は分離不安症を発症しやすいと

言われています。また、飼い主による突然のライフスタイルの変化によりこれまでなかった

長時間の留守などを経験すると発症しやすくなるとも言われています。飼い主の外出時や

帰宅時に強い愛情を示しすぎると、結果として不在時の犬の不安を強めてしまうことも

あるので注意が必要です。

 

診断

飼い主の不在時に起こる無駄吠えや遠吠え、破壊、不適切な排泄を確認できれば

分離不安症と言えます。多くの場合、飼い主の外出後の30分以内に発現すると

言われているので、カメラなどで確認することが可能です。

 

治療

飼い主の外出と不在に動物を徐々に慣らしていくことが重要となります。動物によって

不安の程度は異なるため様子をよく観察しながら進めていく必要があります。

また、分離不安の治療に移る前に、おすわりや待て、伏せなどの基礎的なしつけを

行うことができ、ある程度の信頼関係が築けていると良いです。

 

簡単なものには、飼い主の外出となる手がかり(鍵を持つ、電気を消す、靴を履くなど)が

あれば、外出をすることなくそれらを繰り返し行なって、動物がそれを外出の前触れと感じ

ないようにする方法があります。

 

また、帰宅時に物が壊されていたり排泄されていても叱るなどの罰を与えないことも

重要です。これは、かえって動物の不安を大きくしてしまう可能性があります。

その他にも、散歩の頻度を増やしてみたり、動物が安全と思える場所を家の中に作って

あげたりなど様々な方法があります。

動物の不安行動の治療のサポートとなるサプリメントや、抗不安薬を用いた治療なども

有効である場合があります。

 

その子その子に合った治療法を探していくことが大切になってくるので、

一度ご相談ください。