特発性多発性関節炎
病態
炎症性関節疾患は感染性と非感染性に分けられます。
非感染性の関節炎は、免疫抑制剤に対する反応が良いため、免疫介在性関節炎と言われます。
さらに免疫介在性関節炎には、骨にびらん病巣を作る関節炎(関節リウマチ)と、非びらん性の関節炎に細分化されます。
特発性多発性関節炎は、非感染性、非びらん性の多発性関節炎の中で、基礎疾患が明らかでないもの、と定義されます。
症状
発熱、跛行、関節痛、元気食欲低下などがあります。
特発性多発性関節炎は、犬の不明熱の原因として最も多い疾患であると報告されています。
診断
身体検査では関節の腫れや、疼痛を確認できます。
血液検査ではCRPの増加が認められます。白血球数が増加することもあります。
レントゲン検査ではびらん病変、軟部組織の腫れ、fad pad signなどを確認します。
関節穿刺では、関節に針を刺し吸入することで、関節液を採取します。正常な関節液は無色透明で粘稠性がありますが、関節炎がある場合には白色で粘稠性が低下しています。関節液を染色して、顕微鏡で確認すると、多量の好中球と、少量のマクロファージ、リンパ球、形質細胞などが認められます。
治療
プレドニゾロン、レフルノミド、シクロスポリンなどの免疫抑制剤を使用します。
免疫抑制剤の投与を止めると、再発してしまう可能性があります。その場合は生涯の投薬が必要になるかもしれません。