原発性上皮小体機能亢進症
病態
上皮小体(副甲状腺)とは甲状腺の周囲に4つ(左右2ずつ)存在する臓器で、体内のカルシウム濃度を調節するホルモンを分泌しています。
原発性上皮小体機能亢進症とは上皮小体のうち一つ(まれに二つ以上)が腫瘍化し、ホルモンが過剰分泌され高カルシウム血症が起こります。
主に中~高齢(平均11.2歳)の犬に発症し、性差や好発犬種はありません。
症状
軽度の高カルシウム血症の場合は無症状の場合もあります。
重度の高カルシウム血症では元気消失、食欲不振、震え、嘔吐下痢、神経症状など様々な症状がみられます。
診断
高カルシウム血症を確認し、血中のホルモン(intact-PTH)濃度が正常~高値であれば原発性上皮小体機能亢進症と診断します。
またエコー検査やCT検査で上皮小体の腫大を認します。
高カルシウム血症は他にも副腎皮質機能低下症、慢性腎臓病、高脂血症、ビタミンD中毒、骨溶解病変、腫瘍、肉芽腫性病変などでも起こるため、同時にこれらの病気の除外もしていきます。
治療
根本的な解決には腫大化した上皮小体の外科的切除が第一選択となり、ほとんどの症例で根治が期待できます。
軽症例や外科不適応例では内服薬を用い高カルシウム血症のコントロールをすることもあります。