椎間板ヘルニア
病態
椎間板とは、椎骨(背骨)と椎骨の間にある、クッション材のような役目をする部位で、線維輪と髄核からなっています。
椎間板ヘルニアとは、椎間板の変性により脊髄神経が圧迫され、痛みや運動失調が起こる病態です。
椎間板の変性様式に基づいて、2つに分類され、以下の特徴があります。
ハンセンⅠ型
・3歳から7歳の若齢に多い
・ダックス、コーギー、シーズー、ビーグル、コッカースパニエルといった軟骨異栄養性犬種
・急性
・線維輪が破けて、髄核(ゼリー状)が脱出し、脊髄神経を圧迫することが原因
ハンセンⅡ型
・6~8歳の成犬から老犬
・軟骨異栄養性犬種以外に多い
・慢性的な経過
・加齢に伴い厚くなった線維輪が脊髄を圧迫することが原因
また症状により、以下のグレードに分けられます。
グレード1:歩行正常だが、背部に痛みあり。
グレード2:歩行がふらつく。
グレード3:歩けない、立てない。
グレード4:浅部痛覚(皮膚の痛み)の消失。排便・排尿障害。
グレード5:深部痛覚(骨の痛み)の消失。
診断
問診、視診(歩行の確認)、触診(痛みの確認)を行います。
診断を確定するために(レントゲン、CT)MRIなどを行い、脊椎の変性部位や程度を調べます。
治療
グレードに応じてそれぞれの療法による改善率は以下とされ、適切な治療法を選びます。
内科療法による改善率 | 外科療法による改善率 | |
グレード1 | 90% | 95% |
グレード2 | 85% | 90% |
グレード3 | 85% | 90% |
グレード4 | 40% | 90% |
グレード5 | 5%未満 | 60% |
内科療法として
・安静
・消炎鎮痛剤
・レーザー療法(疼痛緩和、神経活性化、消炎効果)
・再生医療(当院で実施)
外科療法(手術)として
・手術で圧迫を解除(片側椎弓切除術など)
※ハンセン2型であれば、PLDD(経皮的レーザー減圧術)を実施
があり、いづれにしてもリハビリが必要となります。