病気紹介

潜在精巣(陰睾)

病態

潜在精巣(陰睾)とは、精巣が腹腔内から陰嚢の中に下降せず停滞している状態をいいます。

片側性または両側性であり、精巣が停滞している場所は陰嚢手前、鼠径部、腹腔内と様々です。(写真は右側鼠径部の潜在精巣です。)

小型犬での発生が多く、大型犬の2.7倍多いとの報告があります。

 

潜在精巣を放置すると精巣腫瘍の発生率が13.6%高まると報告されています。腫瘍別ではセルトリ細胞腫で23倍、セミノーマで16倍リスクが高まるという報告があります。

また潜在精巣は遺伝と考えられているため、片側性で生殖能力がある場合でも繁殖には不向きであると思われます。

したがって潜在精巣であれば早期に去勢手術を行うことが推奨されます。

診断

2〜4ヶ月を超えても精巣が陰嚢内に降りていない場合は潜在精巣を疑います。

陰嚢手前や鼠径部に停滞している場合は触診で診断可能ですが、潜在精巣は通常より小さいことが多く、肥満の動物では触診で診断できないこともあります。その場合には超音波検査が有効です。

 

治療

外科的に精巣を摘出する手術を行います。

陰嚢手前や鼠径部の潜在精巣の場合はその付近の皮膚を切開し精巣を摘出します。

腹腔内に停滞している場合には開腹手術となります。

 

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