病気紹介

猫の歯肉口内炎

病態

猫の歯肉口内炎は、歯肉、口腔・咽頭粘膜、口蓋粘膜、舌を含む様々な口腔軟部組織に炎症が起きる病気です。

口腔内全域に及ぶ炎症・潰瘍を認める重度なものから、より限局した部位に病変を認めるものまで、程度は様々です。

発症要因は詳細には明らかになっていないが、カリシウイルスなどのウイルスや特定の細菌の関与、及びこれらの口腔内微生物に対する過剰な免疫反応などによる複合的な要因が指摘されています。

 

症状

口腔内の痛みによる流涎、食欲低下、食事中の奇声、口からの出血、グルーミングをしないことによる被毛粗剛、前肢の汚れなどがあげられます。

 

診断

口を開けさせ、軟口蓋や頬粘膜を含む口腔内粘膜の炎症を肉眼的に確認します。

病変は一般的に左右対称に見られます。

扁平上皮癌などの口腔内腫瘍との鑑別が特に重要となるため、腫瘍を除外するためのスクリーニング検査(血液検査・レントゲン・超音波検査)及び、必要に応じて病理検査を行います。

 

治療

炎症の引き金となっているウイルスや細菌などの口腔内微生物を可能な限り除去し、それに伴う炎症反応をなるべく抑える治療が軸となります。

内科治療では抗菌薬やステロイドの投与を中心に、インターフェロン製剤や口腔内善玉菌のサプリメントなどを併用することもあります。

しかし内科治療のみで症状が改善することは少なく、外科処置を必要とすることがほとんどです。

歯肉口内炎に対する外科処置として、口腔内微生物の温床を取り除く意味での全顎抜歯や全臼歯抜歯が行われます。