病気紹介

猫の角膜上皮びらん・角膜潰瘍

病態

角膜は「上皮・実質・デスメ膜・内皮」などの層構造になっています。

角膜上皮びらん:一番外側の「上皮」のみが浅く剥がれた状態

角膜潰瘍:その奥の「実質」にまで損傷が深く及んだ状態

主な原因は、外傷(同居猫とのケンカや擦りつけ)など外的要因のほか、猫ヘルペスウイルス1型(FHV-1)などの感染症です。

特に後者は何の前触れもなく起こることがあり、ウイルスの感染や元々潜伏感染していたウイルスが免疫力の低下・ストレスなどで再燃することによって引き起こされます。

 

症状

・目をショボショボさせる、開けにくそうにする(眼瞼痙攣)

・涙や目やに(流涙・目脂)が増える

・目を気にして足で掻く、床に擦りつける

・角膜が白く濁る(角膜混濁)や白目が赤くなる(結膜充血)

 

診断

見た目の診察に加え、以下の専門的な眼科検査を行います。

フルオロセイン染色検査:蛍光色素の試薬で角膜の傷を染め出します。

暗室でブルーライトを当てることで、樹枝状(樹枝状潰瘍)や地図状(地図状潰瘍)に染まる病変を確認します。

PCR検査:確定診断のために綿棒で角膜病変部を拭い、FHV-1の遺伝子の有無を調べます。

スリットランプ検査、眼圧測定、シルマー試験紙試験など必要に応じて各種眼科検査を行い、他の疾患の除外や併発疾患の有無を調べます。

 

治療

・抗ウイルス薬の投与:FHV-1が原因の場合、ファムシクロビルなどの抗ウイルス薬の内服や、ウイルスの増殖を阻害するイドクスウリジンの点眼薬を処方します。

また免疫をサポートするインターフェロンの投与や、L-リジンなどのサプリメントを併用することもあります。

・ヒアルロン酸点眼の投与:角膜の保護や再生を促すヒアルロン酸点眼を処方します。

・抗菌薬点眼の投与:広範囲に効く抗菌薬点眼で二次的な細菌感染を防ぎます。

・エリザベスカラーの装着:自分で目を掻いて悪化させないよう、エリザベスカラーを装着し目を保護します。

 

角膜潰瘍の治療中に安易にステロイドや非ステロイド性抗炎症薬の点眼を使用すると、角膜の再生を邪魔する上にウイルスが増殖して病変が激化する恐れがあるため注意が必要です。

角膜の傷は進行が早く、放置すると角膜穿孔(穴があくこと)に繋がる危険もあります。

愛猫の目に違和感があれば、早めに当院にご相談ください。

 

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