病気紹介

臍ヘルニア

病態

臍ヘルニアとは、いわゆる“出べそ”です。

臍帯輪と呼ばれるへその緒が胎子に付着していた部分を通じて、腹壁内の臓器が腹壁外へ逸脱した状態をいいます。
特におへその辺りの軟らかい腫瘤として確認されます。

原因はあまり明らかではありませんが、通常先天性の疾患で、遺伝的要因で生じると考えられています。

 

症状

基本的には無症状ですが、ヘルニア部から腸管が逸脱すると、腸管が絞扼(狭窄して締まっている状態)したり閉塞してしまう可能性があり、嘔吐、腹痛、食欲不振および沈鬱などの症状がみられることがあります。

 

診断

触診、視診により臍ヘルニアを確認します。
触診で腸管などヘルニア内容を特定できる場合もあります。

画像検査も有効であり、ヘルニア内容の確認は特に超音波検査を用います。

絞扼や閉塞が起こらない限り、血液検査などの臨床検査所見には特に異常はみられません。

鑑別診断として膿瘍、フレグモーネ、血腫、漿液腫、腫瘍などが挙げられますが、ほとんどが触診で診断できます。

 

治療

治療は基本的に手術しかありません。
皮膚を切開してヘルニア内容を腹腔内に戻し結紮します。
腹腔内に戻らない場合は、ヘルニア内容に腸管が存在しないことを確認して、ヘルニア部を切除します。

また、6ヶ月齢までなら自然に閉鎖する可能性があるので、避妊手術のタイミングで手術適用かどうか判断することも多いです。
ヘルニア部の穴が腸管と比べて大きい、もしくは小さい場合は絞扼する可能性は低いですが、同じくらいの大きさである場合は絞扼する可能性が高いと考えられます。

大切な動物さんの出べそが気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。