認知機能不全症候群(認知症)
病態
明確な定義はありませんが、動物でも加齢による認知機能の低下(認知症)はあります。
一般的に、猫より犬で多くみられます。
人間のアルツハイマー病とは病態が異なるといわれていますが、はっきりとは解明されていないようです。
昨今では動物の医療が発達し、平均寿命が伸びているため、以前より増えてきています。
症状
見当識障害(家の中で迷う、角に頭を突っ込んで動かなくなるなど)、社会的交流の変化(怒りっぽくなる、他人に興味を示さないなど)、生活リズムの変化(夜鳴き、昼夜逆転など)、不適切な排泄(トイレで排泄しないなど)、活動性の変化(徘徊、ずっと寝ているなど)が挙げられます。
最初は軽度でも、時間の経過につれて症状が進行してくることが多いです。
診断
初期の段階だと症状が軽度のため気づきにくく、ある程度進行してから診断されることがほとんどです。
また、類似した行動変化を示す他の疾患(悪性腫瘍に関連した全身性疾患やホルモン疾患、神経疾患、関節炎など)の可能性を除外して診断を進めます。
そのため、必要に応じて血液検査、画像検査などを行い全身をスクリーニングすることがあります。
治療
根治はできませんが、進行予防と症状改善を目的に治療することがあります。
認知力向上や精神安定の効果のある食事やサプリを処方します。
状況に応じて睡眠薬や抗不安薬を投与することもあります。
また散歩、他動物との触れ合い、玩具で遊ぶなど、脳に刺激を与えることが進行予防につながります。
自宅では動物さんの生活空間をある程度制限し、円形サークル、クッション、オムツなど駆使したり、動物さん、飼い主様がお互い快適に暮らせるような環境づくりが必要です。
おうちの老犬さん、老猫さんのことでお悩みがあれば、ぜひ当院にご相談ください。