病気紹介

馬尾症候群

病態

馬尾症候群とは、馬尾神経と呼ばれる神経が圧迫されることで、様々な症状を起こす病態のことです。脊髄は、脳から末梢に向かって神経の枝を出しながら伸びており、腰部後方あたりで末梢神経が馬の尻尾の様に分岐して重なって見えることから、馬尾神経と呼ばれています。

馬尾神経を圧迫する原因として最も多いのが、加齢性変化によって生じる変性性腰仙部狭窄症です。他には腫瘍や奇形、背骨である椎骨の異常などがあります。

馬尾症候群は、時間経過とともに症状が悪化します。

大型犬の中年齢以降でよく見られますが、プードルなどの小型犬や猫での発生もあります。

症状

初期には、腰部の痛み、震え、階段の上り下りを嫌がる、あまり動かなくなるなどがあります。症状が進行すると、後ろ足のふらつき、尿漏れ、便失禁などが見られます。

診断

まず、身体検査で触診を行い腰部の痛みをはじめとする異常の有無を確認します。

次に、レントゲン検査にて明らかな腫瘍や奇形などの骨の異常を確認します。

確定診断には、麻酔下で行うCT検査やMRI検査が必要となります。

治療

症状や進行度合いにより治療法は異なります。

初発で腰仙部の痛みのみの症状であれば、保存療法を実施します。

保存療法では、痛みに対しての鎮痛薬の内服と、4~8週間のケージレストによる運動制限(体の大きさの1.5倍ほどのケージの中で過ごす)を行います。ビタミン剤を併用することもあります。

しかし、保存療法は対症療法であるため、根本的な治療にはなりません。

症状が再発している症例や、進行している症例、症状が軽度であっても根本治療を望む場合は、外科手術を選択します。馬尾神経を圧迫している原因により、手術方法は異なります。

外科手術に対する治療反応や長期予後は、症状が軽度である症例では非常に良好です。

手術前からふらつきなどの不全麻痺が見られたり尿漏れや便失禁がある症例では、外科手術を行っても症状が大きく改善しない場合があるため、慎重な判断が必要です。

症状が当てはまり、ご心配な方や何かご質問がある方はお気軽に当院までご連絡ください。

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